2024年に千葉県市川市の住宅から女性が連れ去られた強盗事件などで、強盗致傷や逮捕監禁の罪に問われた横浜市旭区の内装工、高梨謙吾被告(22)の裁判員裁判の初公判が2日、千葉地裁(水上周裁判長)であり、高梨被告は起訴内容を認めた。同年に首都圏で相次いだ「闇バイト」による強盗事件のうち2件に関わり、被害者に凄惨(せいさん)な暴行を加えていた状況が明らかになった。 起訴状などによると、高梨被告は藤井柊被告(27)ら2人=いずれも強盗致傷罪などで起訴=と共謀し、24年10月17日未明に市川市の住宅に侵入して50代女性に殴る蹴るの暴行を加え、現金などを強奪した。女性を縛り車で埼玉県内の宿泊施設まで運んで夜まで監禁。奪ったクレジットカードを使ってネックレス2点(計226万5000円相当)をだまし取った。 前日の16日未明には藤井被告と共謀し、白井市の住宅で40代女性と70代女性の親子を縛って暴行し、現金と車を奪ったとされる。 検察側の冒頭陳述によると、高梨被告は金欲しさから闇バイトに応募し、秘匿性の高い通信アプリ「シグナル」で「パトリック」「GGG」などのアカウントから指示を受けた。市川市の事件で被害女性は全治約2カ月の重傷を負っており「執拗(しつよう)に苛烈な暴行を加えており、被害の結果は重大」と指摘した。 弁護側は高梨被告が事件に至る経緯を説明した。17歳で高校を中退し、結婚して子どもをもうけたが、事件の5カ月前に離婚。養育費や借金700万円以上を抱える中で、SNSで「簡単、即金、ホワイト案件」という文字を見つけて闇バイトに応募したが、「(強盗ではなく)特殊詐欺をすると思っていた」という。【林帆南、高橋晃一】