トランプ政権が米メディアに圧力「言論の自由」は? 親会社の資本に左右、コメディアンの番組に明暗

建国以来「自由の国」として、言論・信仰・学問の自由を掲げてきたアメリカで番組ホストがトランプ米政権に対して批判的な発言をした後、その番組が、一時的に放送休止に追い込まれた。「言論の自由」が危機に瀕している。AERA 2025年10月6日号より。 * * * 「自主検閲だ」 「権力に屈した言論の自由に対する攻撃だ」 米西部カリフォルニア州のディズニーの映画スタジオ前で9月18日、デモが広がった。SNSではセレブが「グッドバイ、ディズニー」と、ストリーミングサービス「ディズニープラス」の解約を表明し、数万人が「いいね」した。 ■風刺さえも許されない 発端は、米娯楽大手ウォルト・ディズニーが17日、傘下のネットワークテレビ局ABCの人気の深夜トーク番組「ジミー・キンメル・ライブ!」の放送を中止すると発表したためだ。同番組で20年以上ホストを務めるコメディアンのジミー・キンメル氏の放送中の発言がきっかけだった。報道番組でもなく、あくまでもコメディアンがホストとなるバラエティー番組での風刺さえも許されない状況が起きている。 キンメル氏は、トランプ米大統領と親しかった右派活動家チャーリー・カーク氏が10日に暗殺された事件に関して、トランプ支持者について発言。カーク氏を銃殺した疑いでタイラー・ロビンソン容疑者は逮捕されたものの、捜査当局は動機を明らかにしていない。だが、トランプ氏が「過激な左派」による事件と逮捕前から示唆したため、SNS上では民主党とリベラル派への攻撃が拡散。トランプ派の極右武装派が「戦争」をほのめかす事態に至っている。 キンメル氏は15日夜の放送で、「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン(MAGA=アメリカを再び偉大にしよう)のギャングたちは必死になって、チャーリー・カークを殺した若いヤツ(訳註:容疑者)が、自分たちとは全く異なる(人物だ)と見せかけようとしている。この事件から政治的なメリットを稼ごうとできる限りのことをしている」とコメントした。

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