【AFP=時事】小型ボートで英国に不法入国したアフガニスタン出身の男が中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」動画で反移民を掲げる右派政党「リフォームUK」のナイジェル・ファラージ氏を殺害すると脅迫したとして起訴された事件の公判で、ファラージ氏は7日、「本当に心配している」と述べた。 ファヤズ・カーン被告(26)は、2024年10月にファラージ氏を射殺すると脅迫した罪で、ロンドンのサザーク刑事法院で公判にかけられている。 裁判所によると、カーン被告が昨年投稿した一連のTikTok動画は数十万回再生され、「オンラインで非常に大きな存在感」を示した。 ピーター・ラトリフ検事は動画について、小型ボートで英国に不法入国しようとする試みに焦点を当てていたと述べた。小型ボートは、フランスから英国に不法入国するために数千人が利用している。一般的だが人気のある手段だ。 英国民は、記録的な数の移民の流入に不満を募らせており、労働党のキア・スターマー首相は対応に苦慮する中、ファラージ氏率いるリフォームUKが急激に支持を伸ばしている。 昨年10月上旬、ファラージ氏はカーン被告の動画を批判するユーチューブ動画を投稿し、「素性が知れない兵役年齢の若い男性が続々とわが国にやって来ている」と非難した。 これに対しカーン被告は動画で、「私がイングランドに来たのはあなたの姉妹と結婚したいからだ。私についてこれ以上話すな。動画を削除しろ」と述べた。 ラトリフ検事によると、カーン被告はその後、指で銃を撃つポーズを取って「バン、バン、バン」と言ったという。 英通信社プレス・アソシエーション(PA)によると、ファラージ氏はダークスーツにピンクのネクタイを着用して出廷した。 ファラージ氏は法廷で、動画は「非常にぞっとする」ものだったと述べた。 「(カーン被告が)銃に親しみ、愛していることを考えると、本当に心配だった」と語り、「あなたの姉妹と結婚したい」というコメントについて「極めて女性蔑視的だ」と付け加えた。 カーン被告はアフガニスタン出身で、2019年から北欧スウェーデンに居住していた。10月31日に小型ボートで英国に密入国したところを逮捕された。小型ボートでのフランスから英国に密入国する様子を「ライブ配信」していたという。 ラトリフ氏は、「被告はソーシャルメディアに動画を公開することで、脅迫がナイジェル・ファラージ氏に届くと確信し、意図していたことは明らかだ」「そして、ナイジェル・ファラージ氏が脅迫の実行を恐れるだろうと、被告は明らかに意図していた」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News