架空の売り上げを計上し、粉飾決算をしていたとして、東京地検特捜部は9日、金融商品取引違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで、東証グロースに上場していた人工知能(AI)関連事業を手がける「オルツ」の元社長、米倉千貴こと姜千貴容疑者(48)ら4人を逮捕した。特捜部は認否を明らかにしていない。 特捜部は同日、東京都港区にあるオルツ本社を家宅捜索した。ほかに逮捕されたのは、いずれも旧経営陣の日置友輔(34)、浅井勝也(46)、有泉隆行(52)の3容疑者。 逮捕容疑は共謀して、令和4年1月~6年6月までの会計年度で売上高を約84億円、6年の連結会計年度で売上高を約49億円過大に計上した有価証券届け出書や有価証券報告書を関東財務局に提出したとしている。 同社が7月に公表した第三者委員会の報告書によると、同社は広告代理店や販売事業者と架空の取引を行って売り上げを水増しする「循環取引」で、6年までの4年間で売上高を計約119億円過大に計上した疑いがあるという。 オルツは平成26年設立のスタートアップ(新興企業)。昨年10月に上場したが、今年4月に証券取引等監視委員会の強制調査を受けていた。7月30日に民事再生法の適用を申請。開始決定を受けて8月末に上場廃止となった。