公明・斉藤代表の選挙区、自民が立候補に意欲 立憲は漁夫の利?

自民党と公明党の連立解消の余波が、地方にも広がっている。公明の斉藤鉄夫代表の地元、衆院広島3区では、自民の石橋林太郎議員=比例区選出=が立候補に意欲を見せる一方、「2人とも出れば共倒れする」との懸念の声が上がる。自民との連立を視野に入れる日本維新の会の関係者も、自民と連立を組めば候補者調整が必要になると気をもんでいる。 「公明との選挙協力や連立を解消するなら、各党が候補者を立てるのが筋だ」。石橋氏は15日、朝日新聞の取材にこう述べ、広島3区からの立候補に意欲を示した。 広島3区は自民の河井克行元法相の地盤だったが、河井氏が2020年に公職選挙法違反(加重買収など)容疑で逮捕されると、比例区選出の斉藤氏が「与党としての信頼を取り戻す」と立候補。斉藤氏は自民の推薦を受け、21年、24年の衆院選で連続当選した。 これに不満を抱いてきたのが自民県連だ。「本来は自民が守るべき選挙区」(県連関係者)として、比例区に回る石橋氏を3区の候補者とするよう党本部に働きかけてきた。だが、党本部は首を縦に振らなかった。 ある自民県議は「これまで公明に気を使いすぎた。これで遠慮なく石橋氏を擁立できる」と強気だ。石橋氏本人も、斉藤氏と戦う可能性について「どうなるかはわからないが、その覚悟はある」と取材に語る。 ただ、石橋氏の地元関係者は「そんな甘い話ではない」と慎重だ。 24年の衆院選は、斉藤氏と次点の立憲民主党の候補者の得票差は、8ポイント差の約1万5千票。石橋氏の参戦で三つどもえになれば、石橋氏も斉藤氏も当選への道は険しくなり、「漁夫の利で、立憲が有利になるとの見方はある」(立憲県連幹部)。 公明県本部幹部は「大阪のように公明が強い選挙区ではない。単独で自民に勝つのは難しい」とみる。その公明と地元で選挙協力を続けてきた自民県連幹部は「斉藤さんが比例に回れば、互いに傷つかない。連立は解消したが、水面下で交渉し続ける」と明かす。 一方、自民が連立相手として秋波を送る日本維新の会。24年の衆院選では県内6選挙区のうち3選挙区で候補者を擁立し、自民の候補者と戦った。維新県総支部の関係者は「連立を組めば、自民の候補者がいる選挙区での擁立はどうなるのか。自民を支援することになれば、地方でますます埋没する」と話した。(山中由睦) ■衆院広島3区の過去の主な候補者の得票(括弧内は推薦) ●2017年 河井克行 自民(公明) 82998 塩村文夏 無所属 61976 ●2021年 斉藤鉄夫 公明(自民) 97844 ライアン真由美 立憲 53143 ●2024年 斉藤鉄夫 公明(自民) 86654 東克哉 立憲 71952(山中由睦)

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