地面師に狙われる大阪の不動産バブル 「ドラマ見て計画」も

不動産価格の高騰に沸く大阪で、地面師とみられるグループが相次いで逮捕された。話題となったドラマさながらの手口で、一等地の土地や建物が次々と狙われていた。 大阪市阿倍野区にあるマンションの管理者になりすまして売買代金の手付金440万円をだまし取ろうとしたとして、不動産会社社員の男性(29)ら2人が2024年12月、詐欺未遂などの疑いで大阪府警に逮捕された。 捜査関係者などによると、男性らはネットフリックスで話題になっていたドラマ「地面師たち」を見たことをきっかけに、架空の不動産取引を持ちかけて代金を詐取しようと計画した。 賃貸物件で空室だったマンションの一室に目を付け、部屋の管理者を装って購入希望者を募集。うその契約書を作成するなど入念な準備を重ねたが、契約直前に計画がばれた。 今年6月には西日本有数の繁華街・ミナミの不動産を舞台に、別の地面師グループによる約14億円の詐欺事件が発覚した。 逮捕や書類送検された男女4人はミナミの一等地にある5~6階建てのビル3棟と各土地を所有する会社の代表になりすまし、偽造した運転免許証や印鑑を使って法人登記簿を変更。所有者の知らぬ間に不動産を乗っ取ったうえで売買を持ちかけていた。 ◇専門家「地面師入り込みやすい」 地面師たちによる事件が相次ぐ背景には、大阪・関西万博やインバウンド(訪日客)で沸く土地価格の高騰があるとされる。 国土交通省の公示地価(25年1月時点)によると、大阪市内(住宅地)の上昇幅は5・8%で4年連続の上昇となった。特にミナミの道頓堀では商業地で22・6%と大幅に上がったところもあった。 ドラマを監修した司法書士の長田修和さんは「東京は地価が上がりすぎて高止まりの状態だ。開発目的にしろ投資目的にしろ、買い手が限られている。一方、大阪はホテルやマンション開発の活況で上昇傾向が続いており、取引を巡って地面師が入り込みやすい土壌がある」と特有の事情を指摘する。 トラブルに巻き込まれないためにも長田さんは「相手の言葉をうのみにせず、不動産業者が実在するのか、本当に不動産が売りに出されているのかを自分で調べるなど対策していくことが重要だ」と話した。【川地隆史】

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