中国籍のフェンタニル密輸組織大物、メキシコが米国に引き渡し 自宅軟禁から逃走も再拘束

(CNN) メキシコが合成麻薬「フェンタニル」の密輸への関与が疑われる中国籍の男を米国に引き渡したことが分かった。男はマネーロンダリング(資金洗浄)と麻薬密輸の疑いで、米国で指名手配されている。 CNNエスパニョールによると、張志東容疑者は法廷文書で、コカイン1000キロ超とフェンタニル1800キロの輸出、輸送、流通に関与したほか、1億5000万ドル(現在のレートで約220億円)を超える違法な利益を洗浄した罪に問われている。 法廷文書に記載された捜査当局の主張によると、「王兄」の通称で知られる張容疑者は、米国や中米、欧州、中国、日本で活動。メキシコの犯罪組織と組んで密輸を行っていたとされる。 張容疑者は昨年10月にメキシコで逮捕され、米国への引き渡しを巡る審理を待つ間、自宅軟禁に処されていた。 しかしメキシコのハルフシュ治安・市民保護相がX(旧ツイッター)で明らかにしたところによると、今年7月11日、自宅軟禁下から逃走。キューバで再び身柄を拘束されたという。 ハルフシュ氏は23日、張容疑者について「きょう米国当局に引き渡された」と明らかにした。 ハルフシュ氏は張容疑者の再拘束をめぐり、キューバ政府の「貴重な協力」に感謝の意を示した。 CNNは米司法省にコメントを求めている。 米国ではフェンタニルが薬物過剰摂取による死亡の原因の筆頭。米国はフェンタニル製造に使われる前駆体の流通を食い止める対策を怠っているとして、中国政府に批判の矛先を向けている。 ロイター通信がホワイトハウスの発表内容を報じたところによると、トランプ米大統領は来週、アジア歴訪の一環で中国の習近平(シーチンピン)国家主席と会談する際、フェンタニル問題を最優先議題に据える方針を示している。 一方の中国政府は、米政権がこの問題を巡り中国への「脅迫」を試みていると批判。23日の中国外務省の定例記者会見で張容疑者の件を尋ねられた報道官は、「具体的な状況を把握していない」と述べるにとどめた。

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