父は田代まさし 「『覚醒剤の魔力』と父は一生向き合っていく」 四度の逮捕で得た気づきと家族が直面した現実

元タレント田代まさしさんの長男・タツヤさん(42)は、覚醒剤に溺れた父が二度目の服役を終えリハビリ施設に入ったころから、「薬物依存」について学び始め、当事者家族として父と向き合うようになった。最近はSNSで依存症の情報を発信しているが、時に心無い言葉や中傷を浴びることも。「本人と家族が依存症を認めて、初めて前向きになれる」。そう話すタツヤさんの願いとは(全2回の2回目)。 * * * ■励ますつもりで「もうやっちゃだめだよ!」 2004年に覚醒剤で2度目の逮捕となり実刑判決を受けたまさしさん。08年に出所後、タツヤさんは父を救おうと懸命に寄り添った。 「もう(覚醒剤を)やっちゃだめだよ!」 励ますつもりで、そんな言葉をかけ続けた。 それでも、わずか2年後、まさしさんは覚醒剤で逮捕され、また服役した。 タツヤさんはショックのあまり、父を突き放した。 ■自分を「薬物依存」と認めた だが、まさしさんは二度目の服役を終えた後、初めて自分を「薬物依存症」だと認め、リハビリ施設「ダルク」に入った。講演会で自分の経験を話すなど、依存症者の支援活動も始めた。 「依存症だと認めただけで、父が大きく変わった」 そう感じたタツヤさんも、薬物依存症について、自ら調べたり関係者に話を聞いたりして学び始めた。 「依存症は、治療が必要な病気だということ。薬物に何度も手を出してしまうのは、本人の意思の問題ではないのだということを初めて知りました」 ■当事者の家族に大切なことは? 厚生労働省がHPで公開している「ご家族の薬物問題でお困りの方へ(家族読本)」には、こうある。 “家族がいくらやめさせようとして叱ったり、ご褒美をあげるなどの努力をしても、原因は薬物依存という障害だから、改善にはつながらない。逆にイライラした当事者が、「薬物をやってスッキリしたい」と考える悪循環に陥る恐れがある。” そのうえで、家族に大切なこととして、「依存症について学ぶ」「適切な対処を学ぶ」ことなどを挙げている。 まさしさんに寄り添い、「もうやっちゃダメ」と諭し続けたことは、実は逆効果だったかもしれない。事実、まさしさんも「(当時は)うるさいと思っていた」と、それがストレスだったことをタツヤさんに打ち明けている。

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