世界中を旅して名声を得ようとするインフルエンサーたちが、知らぬ間に「絶滅の危機」を招いている──。先住民族の権利を擁護する団体が、SNSの影響力を求めて未接触部族に接近する旅行系インフルエンサーらが、未知の病原体を持ち込むことで、彼らを10年以内に滅ぼす恐れがあると警鐘を鳴らした。 米「ニューヨーク・ポスト」紙によると、この警告を発したのは国際NGO「サバイバル・インターナショナル」で、報告書「Uncontacted Indigenous Peoples: at the edge of survival」のなかで、「接触の結果は常に壊滅的であり、子どもや家族を大量死に追い込む」と述べている。世界には少なくとも196の未接触部族が存在し、その95%はアマゾンに集中。残りはアジアや太平洋地域に点在している。だが近年、観光客やインフルエンサーが増加し、接触を試みる動きが後を絶たないという。 とくに「世界で最も孤立した民族」が暮らすインド洋の北センチネル島では、侵入禁止区域にもかかわらず、英冒険家マイルズ・ラトリッジが「違法上陸を計画している」と公言。米国人インフルエンサーのマイハイロ・ポリャコフ(24)は実際に島へ向かい、ココナッツやダイエットコーラを供えるなどして接触を試み、逮捕された。 報告書は「未接触部族は娯楽ではなく、彼らの命を“いいね”や登録者数と引き換えにしてはならない」と強調している。