伊藤沙莉が信頼される理由「何かの期待を促進することってすごく無責任だと思っているんです」

NHK「あさイチ」のプレミアムトークは、金曜日のスペシャルインタビューコーナーだ。大河ドラマや朝の連続テレビ小説の出演者が絶妙なタイミングで出演することも多い。関係者の証言でその人の魅力が語られることもある。 NHK朝の連続テレビ小説に新たに伝説を残した『虎に翼』のヒロイン・佐田寅子を演じた伊藤沙莉さんも、最終回直前の2024年9月に「あさイチ」プレミアムトークに出演した。ここで話題となったのが、ほとんどの場合満面の笑みで楽しく話しながらも、伊藤さんが何度も涙していたことだった。 森田望智さんや仲野太賀さん、チーフ演出の梛川さんからのコメントを聞きながら、目尻が光る。ちょっと困ったような顔をして、それが涙をこらえている表情なのだとわかる。止まらぬ涙に、司会の博多華丸大吉さんから「卒業式?」と言われていたほどだった。SNSで「沙莉ちゃんと一緒に泣いた」「こういう人だから寅子が最高だったんだね」など多くのコメントが寄せられ、伊藤沙莉さんという人の魅力が改めて伝わる番組となった。 このとき、チーフ演出の梛川さんは伊藤さんにこのようにコメントを寄せていた。 「実はとても繊細で、人のさまざまな感情を深く早く察知してしまうあなたは、ときどきスイッチをオフにして自分の心と集中力を守らなければならない。でも、だからこそあの深い深い芝居が生まれてくる」 感情を深く早く察知するからこそ、自身も感情が豊かで、だからこそまっすぐ視聴者に伝わってくる。伊藤さんの豊かで繊細な感情があってこそ、役になりきり、見る側の心をつかむのだろう。土居志央梨さんが「沙莉ちゃんは本当にまっすぐに心のこもったお芝居をする」「沙莉ちゃんとだからできた」と言うように、誰もが全幅の信頼を置いているのもよくわかる。 そんな伊藤さんならではの演技が見られるのが、10月31日公開の映画『爆弾』だ。公開を前にインタビューをした前編では、伊藤さんの「信頼」の背景に迫る。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする