タンザニアで選挙めぐり抗議デモ、弾圧で数百人死亡か

アフリカ東部タンザニアで10月29日に大統領や国会議員の選挙があり、同日から3日間、国内各地で抗議行動が続いている。主要野党は、この間に数百人が殺害されたとしている。 抗議デモは全国の都市で見られている。主に若者らが街頭に出て、選挙は不公正だったと糾弾している。 デモ参加者らは、今回の選挙で政府が、野党の有力指導者の1人を収監、もう1人を手続き的な理由で排除するなど、同国の民主主義を損ねていると非難。それにより、与党・革命党(CCM)の現職サミア・スルフ・ハッサン大統領が有利になったと主張している。 抗議行動は31日も続いた。港湾都市ダルエスサラームでは、騒乱を終わりにするよう求める軍トップの警告に、デモ参加者らが従わなかった。 死者数に関してはさまざまな情報が出ている。同国では全国的にインターネットが使えなくなっており、人数の検証が困難になっている。 野党・民主開発党(チャデマ)の広報担当はAFP通信に、治安部隊との衝突で「700人近く」が殺害されたと話した。タンザニアの外交筋はBBCに、少なくとも500人が死亡したことを示す信頼できる証拠があると述べた。 タンザニア政府は、暴力の規模を小さく見せようとしている。当局は騒乱を鎮めようと、夜間外出禁止令を延長している。 マフムード・コンボ・タビット外相は、「あちこちで個別のいくつかの事案」が起きているとBBCの番組「フォーカス・オン・アフリカ」で説明。「治安部隊が事態に対処するため、非常に素早くかつ断固と行動した」と述べた。 また、「建物破壊の報告を受け続けている」と主張。そうした行為をやめさせ、人々の命を守るためにインターネットの切断が必要だとした。 ダルエスサラームの医療関係者はBBCに、病院は30日から死傷者であふれかえっていて、市内のほとんどの公立病院も同じ状況だと説明。遺体安置所も満杯だと語った。 野党・民主開発党の政治家ジョン・キトカ氏は、BBCの番組「ニューズアワー」で、「虐殺は目撃者のいない夜間に実行されている」と話し、身の危険を感じていると主張。「(治安部隊は)私たちのすべての指導者を追跡しており、何人かは国外に出なくてはならなくなっている」と述べた。 国連はタンザニアの治安部隊に対し、不必要な武力行使を控えるよう呼びかけている。イギリス、カナダ、ノルウェーの外相は共同声明を発表し、タンザニア当局に「最大限の自制をもって行動」し、「表現の自由」を尊重するよう求めた。 一方、タンザニアの半自治領で、独自の政府と指導者を選挙で選んでいるザンジバル諸島では、革命党の現職フセイン・ムウィンイ大統領が80%近い得票率で勝利した。 AP通信によると、ザンジバルの野党は「大規模な不正」があったと述べている。 ザンジバルでは空港で観光客が足止めされているとされる。本土での抗議行動とインターネット切断によって、空の便に遅れが出ているという。 タンザニアでは、選挙の正式結果が11月1日に発表される見通し。1961年の独立以来、政権を握り続けている革命党の、サミア大統領の勝利が有力視されている。 サミア氏は2021年、ジョン・マグフリ前大統領の死去に伴い、タンザニア初の女性大統領に就任した。 当初は政治弾圧を緩和したとして称賛されたが、その後、自らに批判的な人々を逮捕や拉致していると非難されるようになっている。 今回の選挙には、16の小規模政党が候補者を出すことが認められた。ただ、いずれもこれまでに大きな支持を得てきた政党ではなかった。 (英語記事 Hundreds feared dead in Tanzania crackdown on election protests)

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