職権を乱用して入手したマイナンバー情報を使い、不正に住民税や保育料の還付や控除を受けたとして、埼玉県警が、所沢市職員だった田中海斗容疑者(31)=懲戒免職=を詐欺と地方税法違反(脱税)の疑いでさいたま地検に書類送検したことが、捜査関係者への取材でわかった。 田中容疑者は、市民税課の主任として住基ネット端末でマイナンバーを調べる権限があった2023年2~3月、職権を乱用して親族14人のマイナンバーの情報を集めたとして、マイナンバー法違反の疑いで今年7月に逮捕された。同法違反の罪で起訴されている。 捜査関係者によると今回の書類送検容疑は、田中容疑者がマイナンバー情報を悪用して入手した個人情報を利用し、23年3月~24年11月、実際には扶養していない親族を被扶養者に加える虚偽の申請(20年度を除く18~24年度分)を市に提出し、扶養する人数を増やした分の住民税と保育料の還付や控除を受け、合計で約202万8千円を市からだまし取ったり、脱税したりしたというもの。 田中容疑者は「保育料が高いと感じたので、安くするため扶養を増やす方法を考えた。不正に減額を受けることに抵抗はなかった」などと供述し、容疑を認めているという。 田中容疑者は8月に市職員を懲戒免職処分になっている。(折井茉瑚)