高額報酬が簡単に手に入るとうたう“闇バイト”。応募者はなぜ、事件に加担してしまうのか。勧誘側の卑劣な手口が明らかになってきました。 警察署に並べられた押収品。そこには、顔や名前が伏せられた偽造免許証が。先週、北海道警察に逮捕された中国籍の男は、7月に運転免許証4枚を偽造した疑いが持たれています。調べに対し「間違いありません」と容疑を認めているということです。 男は、京都市内で偽の運転免許証を使って配送業者から荷物をだまし取った疑いなどでも既に逮捕されていて、この一連の事件はSNSを介して別の人物から犯行を指示されていた、いわゆる「闇バイト」とみられています。 高額報酬が簡単に手に入るとうたう“闇バイト”。「インターネット・ホットラインセンター」によると、2024年1年間で“闇バイト募集”の通報があったのは1万3852件。2025年も1月からの半年間で、5188件と、今もなお、闇バイトへの勧誘は蔓延しています。 (静岡県警 生活安全企画課 小松 航 警部) 「強盗事件とかそういった凶悪犯罪に関しては、最近はニュースは確かに出ていないんですが。実際、特殊詐欺や投資ロマンス詐欺といった犯罪というのは、ことしさらに増えていますので。なおかつ、闇バイトに応募する人というのは、今も高水準で…いるという状況ですね。 静岡県内でも、闇バイトがきっかけの事件が数多く確認されているといいます。こうした闇バイトに応募する人は、なぜ犯罪に加担してしまうのか。 これは県警が公開した動画。話を聞かれていたのは…。 (佐藤さん・仮称) 「その時の自分は、意味はあまりわかってないんですけど、なんとなくやってること、あってるっぽいな…という感覚で、信用しちゃったというか」 闇バイトに応募したという20代の佐藤さん。 (佐藤さん・仮称) 「日払い、単発、履歴書不要みたいな条件で。けっこうでてきました。いわゆる高収入というのがほとんど入っています」 高額報酬という甘い誘惑に目がくらんで応募したといいます。その相手との電話で聞かれたのが…。 (電話の相手) 『どんな経験があるの?過去にこういうバイトで応募したことありますか?』 さらに、住所やどんな仕事をしているかなどの個人情報や免許証の写真を送るように指示も。 佐藤さん(仮称)は、相手の人物が“丁寧な口調”で、知識があるような言い方だったことから信用したといいます。 (佐藤さん・仮称) 「お金のなさ、危機感があって。これさえできればって思って。安易な気持ちで送っちゃった」 翌週、佐藤さんは電話の相手と待ち合わせ。すると、今度は別の人物から連絡が。 (別の人物) 『ネットカフェに行って3時間ぐらい過ごして、あとはこちらの指示通りにやってくれ』 最初に電話した人物とは違い、高圧的な口調で指示を出してきたといいます。 (佐藤さん・仮称) 「タクシー手配したから、乗っていって家まで行って、お金をキャッシュカードを回収するって。そこで、ちょっとあれ?ってなって。キャッシュカード、他人の引き出しちゃいけないってルールだっけ…と違和感覚えて話も合わなくなってきて、段取りしている人に今回はやめたいですっていう話をした」 そして最初に電話をした人物に連絡。すると…。 (佐藤さん・仮称) 「『話が違うからできないです』という話をしたら、最初はちょっとなんかふっかかってきたんだけど、『こっちも最初に説明しているだろう』みたいな。『いやいや全然話が違うので』という話をしたら、『わかりました』と向こうが折れて。『今回はこっちの説明不足もあったので、なしでいきましょう』という話になりました」 佐藤さん(仮称)は、あと一歩のところで犯罪の加担までは免れ、その後も連絡はなかったといいます。 応募した人を断れない状況に追い込み犯罪に導く闇バイト。その入り口に立たないためには強い意志を持つことが必要です。 (静岡県警 生活安全企画課 小松 航 警部) 「応募者はですね、犯罪グループにとって、リスクを肩代わりしてくれるだけの使い勝手のいい道具でしかないっていうことを気づいてほしいと思っております。万が一、闇バイトに応募してしまった場合、悩んだ場合には、最寄りの警察署にすぐ相談してください。警察を頼っていただきたいと思います」