正捕手として将来を嘱望された元プロ野球選手が再び捕まった。 11月7日に愛知県警中川署が公務執行妨害の逮捕したのは、ソフトバンクに所属していた職業不詳の山下斐紹(あやつぐ)容疑者(32)だ。男性救急隊員を両手で突き飛ばしたり、蹴ったりしたとされる。 「事件が起きたのは7日夜11時前です。山下容疑者は名古屋市中川区の居酒屋で泥酔。従業員からの『お客さんが酒を飲んで体調を崩している』という119番通報を受け、救急隊員が駆けつけます。山下容疑者は酔客扱いされるのが不満だったのか、50代の男性救急隊員を突き飛ばし現行犯逮捕されました。警察の調べに対しては『知らない。何もやっていない』と容疑を否認しています」(全国紙社会部記者) 山下容疑者が逮捕されるのは、今回が初めてではない。’24年12月にはコカインを所持していたとして、麻薬取締法違反の容疑で逮捕。有罪判決を受けており、執行猶予中の再逮捕となった。 『FRIDAYデジタル』はコカインでの事件直後に、山下容疑者について詳しく取材している。「期待の星」だった山下容疑者に、現役時代からささやかれていた「黒い評判」を紹介したい――。 ◆ピッチャーへ山なり返球 山下容疑者が、ソフトバンクからドラフト1位指名を受けたのは’10年秋だ。習志野高(千葉県)時代から「強打の捕手」として注目されていた。 「山下がドラ1指名を受けた年は、2位で柳田悠岐、育成枠で甲斐拓也、千賀滉大を獲得しソフトバンクにとって『当たり年』です。中でも山下の打撃センスや肩の強さは、高校時代からズバ抜けていた。打球の飛距離、ミート力は、すでにプロの水準でした」(スポーツ紙担当記者) だが山下容疑者には、当初からプロとしての自覚が感じられなかったという。 「一言で言うとチャラいんです。先輩に対しても『マジかよ』と平気でタメ口を使っていました。集合時間を間違えて、練習に遅刻することもたびたび。ピッチャーへの返球も山なりに投げるなど、真剣味が感じられませんでした。 同じ捕手で『自分は下手ですから』と泥だらけになって朝早くからトレーニングに励んでいた甲斐とは、対照的でしたね。当時からソフトバンクには3軍まであり、管理体制が厳しかった。審判のジャッジにもあからさまに不満げな態度を示すなど、呆れた行動を繰り返していた山下はチーム内で浮き気味でした」(同前) ◆「本当にもったいない……」 期待されながらも結果を出せない山下容疑者は、’17年オフにソフトバンクから楽天にトレード移籍。’20年11月に戦力外通告を受け、育成契約した中日ではコロナが猛威をふるっていた’21年夏に禁止されていた外食をし、10日間の自宅謹慎となった。現役を引退したのは’22年オフだ。 「引退してからは、反社会的な人間と付き合っているのではないかという噂がありました。違法薬物も知人に勧められ使うようになったと聞いています。才能は間違いなくピカイチだったのに、本当にもったいない……」(別のスポーツ紙担当記者) 元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が解説する。 「憧れのプロの世界でなかなか結果を出せず、悔しさや不完全燃焼感があったのかもしれません。だからといって犯罪を繰り返していいワケがない。以前、プロ野球の元コーチからこういう話を聞きました。『プロは才能だけで通用するほど甘くない。常に相手や自分を研究し、効率的な練習を続けることが大切だ』と。 山下容疑者は、ドラフト1位という地位にあぐらをかき謙虚さが足りなかったのでしょう。自分を律しきれていなかった。まだ30代前半と若いのですから、元プロ野球選手というプライドを捨て深く反省し、社会人として再スタートできることを願っています」 執行猶予中の犯行のため山下容疑者には実刑が下り、刑務所で自身を見つめる日々が訪れそうだ。