勤務先の金融機関から1億円を着服したとして、業務上横領の罪に問われた無職新田博志被告(45)=串本町=の初公判が13日、和歌山地裁田辺支部(広瀬一平裁判官)であった。新田被告は「間違いございません」と起訴内容を認めた。 検察側は冒頭陳述で、新田被告が顧客の定期貯金証書を偽造し、顧客の資金を使い込むことを繰り返していたと指摘。9月12日に顧客から問い合わせがあったことから、不正が明らかになる前に店の現金を持ち出して返済しようと考えたと主張した。 同日、他の従業員が退社したあと、店の防犯カメラの電源を落として金庫から現金を取り出し、顧客などへの返済に回したほか、競馬や宝くじ購入に充てたと指摘した。 この日弁護側は、新田被告が起訴内容を認めた後、「同意見です」と述べた。 起訴状によると、新田被告は9月12日、なぎさ信用漁業協同組合連合会串本営業店の店長として、管理していた店の運営資金1億600万円を持ち出して横領したとされる。 事件は同月16日、店の金庫から現金がなくなり、新田被告の「謝罪の手紙」が置かれていたことから発覚。新田被告は19日に警視庁新宿署に出頭し、新宮署に逮捕された。連合会が同日、懲戒解雇した。(榊原織和、菊地洋行)