「お金を出せば性欲を満たせる」2000円渡して女子高生に性的暴行した79歳男に突き付けられた求刑

「(勾留中に)被告人は79歳になりました。高齢でございまして、糖尿病も患っております。勾留中にも、血糖値の変動等で倒れることなどがありました」 女子高生Aさん(当時15歳)への不同意性交等などの罪に問われている男の弁護人は、法廷でこのように述べ、健康面の不安を訴えた。 11月4日、さいたま地裁で大久保隆夫被告(79)の第3回公判が開かれ、この日、結審した。 大久保被告はわいせつ誘拐と不同意性交等の罪に問われている。事件が起きたのは今年5月11日。公園の脇に車を止めて昼食をとり、車内でゆっくりしていた大久保被告の視界に入ったのが、前方から歩いてきたAさんだった。 Aさんを見つけたときのことを、大久保被告はこのように述べている。 「かわいいと思うとともに、もし声をかけて車に乗ってくれたりしたら、人けのないところに連れて行って、エッチなことでもしちゃおうかなと思いました。それで窓を開けて、女の子に『こんにちは、散歩ですか』と声をかけると、女の子は『はい』と返事をしてくれました」 そして「お小遣い、いくらもらってるの? おじさんが2000円くらいあげようか? 車に乗る?」と声をかけると、Aさんが自分から車に乗ってきたと主張している。 一方、Aさんは警察や検察の取り調べで、大久保被告に声をかけられたときのことを、このように供述していた。 「いきなり声をかけられてすごく怖くて、逃げ出したり、大きな声を出すことができませんでした。お母さんに心配をかけてしまうと思い、(大久保被告から性的暴行を受けたことを)当日は言い出せませんでした。いまでも連れ去られたときのことを考えると、怖くて1人で出歩けません」 大久保被告は、人けのない場所に移動した後、車内でAさんの体を触るなどのわいせつな行為をしたこと、さらに不同意性交等に問われる性的暴行を加えたことを認めている。 ◆検察官が論破した被告の主張 別れ際、大久保被告はAさんに「体を触らせてくれたお礼として、千円札2枚をあげました」という。彼にとって忘れがたい日となったのか、Aさんに「ほづみ」と勝手に名前をつけ、「ほづみ 2000円」と手帳にメモしていた。この手帳は警察に押収されている。 事件から2日後の13日、たまたま見かけたAさんの後をつけてAさんの自宅の前までやってきた大久保被告にAさんの母親は2000円を返済している。 大久保被告は被告人質問で「被害者の方(Aさん)が自分から服を脱ぎました」とも主張していた。しかし、この日に行われた論告弁論のなかで、検察官は大久保被告の主張を次のように否定した。 「本件当時、被告人と被害者には面識がなく、60歳以上の年齢差があった上、『誘拐され、これからどこに連れて行かれるんだろうと思い、怖くなって何もできなかった』などと供述した被害者が、自らの意思で服を脱ぐなど、およそ考えがたいものがあります」 その上で、検察官は「被告人は、自己の性的欲求を満たすために本件犯行に及んだもので、その身勝手な動機は厳しく非難されるべき」として「懲役6年」を求刑した。 一方、弁護人は、冒頭のように大久保被告が健康面で不安を抱えていることを指摘。「被告人の現在の健康状態を考えれば、刑事施設ではなく、社会内で、家族のもとで生活することが相当であると考えます」と続けた。 さらに、「確かに、不同意性交等とわいせつ誘拐は重大犯罪ではありますが、犯行において、被害者を無理に車両に乗せたり、衣服を脱がしたりしておらず、被害者を身体的には傷つけることもしておりません。行為態様は必ずしも悪質といえず、ただちに刑事施設に収容することは重すぎる」などと述べ、「刑事施設での更生ではなく、酌量減軽をした上で執行猶予付きの判決とし、社会内での更生を目指すのが相当」と主張するのだった。 最終陳述で「特にありませんけども、いい年して、申し訳ないなと思っております」と述べた大久保被告。 逮捕される前は、ユニセフに募金したり、ボランティアで老人ホームを訪れ、30年やっていたという演歌や日本舞踊を披露するなど、篤志家としての一面もあったという。 被告人質問で「お金を出せば、性欲を満たせると思いました。男としての性欲がありました」と事件当時を振り返っていた大久保被告。「男としての性欲」とやらを強引に満たそうとした結果、篤志家としての実績は台無しとなり、大きな代償を払うはめとなった。 判決は11月21日に言い渡される予定だ。 ※「FRIDAYデジタル」では、皆様からの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまたは公式Xまで情報をお寄せ下さい。 情報提供フォーム:https://friday.kodansha.co.jp/tips 公式X:https://x.com/FRIDAY_twit 取材・文:中平良

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