海外に渡った日本人が相次いで摘発されている特殊詐欺。多くの詐欺グループが拠点を構えているとされるカンボジアの現地取材で浮かび上がった「黒幕」。国家権力とのつながりも指摘されています。 ■詐欺で制裁 企業トップが東京に こちらはオンライン詐欺などに関与したとして10月、アメリカ財務省などが経済制裁に乗り出した人物。カンボジア最大級の複合企業、プリンス・ホールディング・グループのチェン・ジー会長です。 このチェン氏、2022年に東京にも会社を設立し、港区に住居として物件を持っていたことが分かっていて、違法な手段で集めた巨額の収益が日本国内に流れている可能性もあります。 多くの詐欺組織が暗躍するとされるカンボジア。現地を取材し、見えてきた実態は… ■中国系犯罪組織が流入、恐怖・暴力で支配か カンボジアは内戦の混乱期を経て、いま経済成長の道を歩んでいます。その発展を支えているのが中国資本です。 南東部の都市、バべットにはいたるところに中国語の看板があり、まるで“中国の街”のような雰囲気です。 しかし、その陰では… 記者 「経済特区になっている場所ではカジノホテルがいくつも建設されていて、国際犯罪組織による特殊詐欺の拠点になっているとみられています」 コロナ禍で中国企業の活動が停滞すると、多数の中国系犯罪組織がカンボジア各地に流入。振り込め詐欺や投資詐欺などの手口で莫大な犯罪収益をあげているということです。 実動部隊となるのは、SNSなどで世界各国から集められた外国人です。監禁され、ノルマを達成できなければ暴力を受けるのが日常だといいます。 11月上旬、JNNのカメラはカンボジア当局が詐欺拠点を摘発する瞬間を捉えました。中には、捜索中に拠点から逃走する人の姿も。 記者 「詐欺拠点から拘束された外国人らを乗せたバスが出てきました」 この日、拠点2か所が摘発され、拘束された外国人は合わせて600人以上。この中には日本人の男女13人も含まれていました。