グループの規約に違反した男性を監禁し、暴行とわいせつ行為を加えたとして強制わいせつ致傷と監禁の罪に問われているスカウトグループ『ナチュラル』の幹部・兼子エディ被告(29=逮捕時)の裁判員裁判が11月18日、東京地裁で開かれた。 『ナチュラル』は、メンバー1500人以上が在籍する国内最大の違法スカウトグループだ。ホストクラブの売掛金を払えなくなった女性を風俗店に紹介し、キックバック(紹介料)を得るなどして’22年の1年間で44億円もの利益を上げている。 メンバーを束ねるため、幹部らを頂点としたピラミッド構造で組織化されており、グループの情報漏洩を防ぐため情報管理も徹底されている。自分たちで開発した独自のアプリで連絡を取り合い、警察をウイルスと呼び、捜査員の顔写真を共有していた。 一方で、『ナチュラル』の勢力が警察内部にまで浸透していることがわかり、大きな衝撃が走っている。 11月12日までに、警視庁暴力団対策課の神保大輔容疑者(43)が、捜査情報をナチュラルに漏らしたとして、地方公務員法(守秘義務)違反容疑で逮捕されている。 「捜査員の逮捕はまさかの裏切りでした。警察の信頼を損なうものとして捜査関係者の間でもかなりのショックが広がっています。神保容疑者の自宅からは900万円が押収されており関連を調べています」(全国紙社会部記者) この日、開かれた兼子被告の裁判では、規約を破った者に対するおぞましい制裁の内容が明らかになった。 兼子被告は黒のスーツにネイビーの細いネクタイを締め出廷。端整な顔立ちと長身で均整の取れた肢体はまるでモデルのようだ。 ◆わいせつ制裁の組織風土 幹部だった兼子被告は部下たちに指示し、規約を破った男性Aさんを監禁。殴る、蹴るなどの暴行を加え、全裸になるように指示。Aさんが拒否すると棒やフライパンで殴り続けたという。兼子被告は、 〈おい、あれ持ってこい〉(以下〈〉内の発言は検察の冒頭陳述での兼子被告の発言) と女性用アダルトグッズを手にした。拒否する男性に対して、 〈やらねぇと終わらねぇからな〉 と脅し、観念した男性の肛門に挿入。挿入中に、 〈気持ちいいですと言え!〉 などと強要したり、親族の名前を言わせ、その様子を動画撮影したという。 男性は顔面や頭部に執拗な暴行を受け、顔の右半分に半年間の痺れが残ったという。さらに性的な羞恥心の影響で、被害時の状況がフラッシュバックし、今も夜眠れないことがあるという。兼子被告らから示談金4000万円を受け取ったが、癒えることのない心の傷を負った。 検察は論告で「わいせつ制裁の組織風土があった」と指摘し、 「尊厳を蹂躙することが目的の組織的犯行。被告は主要な役割を果たした」 として懲役6年を求刑した。 この裁判の翌日、警視庁暴力団対策課は、11月19日までに、男性を車中に監禁したなどとして強要と逮捕監禁の疑いで、ナチュラルのメンバー、山阪恵斗容疑者(26)ら男3人を新たに逮捕した。 ナチュラルの制裁は今も続いているのかもしれない。