特殊詐欺被害防止へ訓練 窓口対応学ぶ 6金融機関が参加/兵庫・丹波篠山市

警察をかたる犯人が被害者に保釈金名目などで金銭をだまし取る手口の特殊詐欺が多発する中、兵庫県丹波篠山市のみなと銀行篠山支店と篠山警察署、篠山防犯協会は、同支店で特殊詐欺水際阻止訓練を行った。被害者と対峙する窓口行員に緊張感を持たせ、声かけなどの対応力の強化を図ろうと、訓練のシナリオを提示せずに実施。行員は、多額の現金を出金しようとする客に、詐欺に遭っていることを納得させ、警察に通報するまでを体験した。 丹波篠山市内の6金融機関の行員・職員計約25人が参加し、窓口行員と被害者役の客とのやり取りを見守った。被害者役は防犯協会の男性が務めた。 県警を名乗る者から電話があり、「捜査であなた名義のキャッシュカードが出てきた。共犯者として逮捕状が出ている。保釈金500万円を払えば逮捕はせず、在宅事件で捜査を進める。お金は捜査終了後に戻ってくる、と言われた」という実際に発生した事件をもとにシナリオを描いた。 同支店の窓口担当の行員は、「車の購入資金に500万円をおろしたい」と、うその事情を話す男性に「振り込みでは駄目ですか」「家族とは相談されていますか」などと問い、それでも出金を求める男性に対し、県警が作成している「詐欺被害チェックシート」を見せ、「1項目でも当てはまれば詐欺の可能性がある」などと説得した。 訓練終了後、篠山署刑事生活安全課の署員は、「丁寧に対応しながらもすぐに出金に応じなかったことは良かった。犯人はシナリオを作っている。行員がこう言えば、こう返すといった対応マニュアルもある。詐欺かどうかの判断は難しいが、不審に感じたら遠慮なく110番に通報して」と伝えていた。 行員は、「お客さまが一生懸命ためられたお金を一瞬でなくしてしまう詐欺被害を防ぐためにも、最後のとりでという気持ちを持って仕事に臨みたい」と話していた。 同署によると、昨年の同署管内の特殊詐欺被害の認知件数は3件で被害総額は1400万円だった。今年は9月末時点ですでに8件、2130万円。その半数がニセ警察による詐欺だった。

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