伝説の侍、坂田銀時……ではなく、やる気ゼロの高校教師・坂田銀八(CV:杉田智和)と、おなじみの「銀魂」キャラクターたちが生徒となって繰り広げるなんでもありな学園コメディ「3年Z組銀八先生」(毎週月曜24:00-24:30、テレ東系列ほか/ABEMA・dアニメストア・ディズニープラス・Hulu・Lemino・TVerほかで配信)。11月3日に放送された第5講は、修学旅行の説明会中に銀行強盗の潜伏が発覚。銀魂高校の教師陣が、それぞれのやり方で強盗たちを迎え撃つ!(以下、ネタバレを含みます) ■修学旅行の説明会が、まさかのスクールジャックに!? 修学旅行を目前に控えたある日、生徒たちは体育館に集まり、説明会を受けていた。風紀委員長・土方十四郎(CV:中井和哉)による「教師に手間を取らせる者 切腹!」というとんでもない校則の読み上げに、生徒たちがドン引きしながら復唱していると、そこへ校内放送が鳴り響く。なんと、5000万円を奪って逃走中の銀行強盗「八留虎三兄弟」が校内に潜伏しているというのだ。学校の知名度アップに目がくらんだハタ校長(CV:坂口候一)は、校舎全体を謎のバリアで封鎖し、教師陣に強盗犯の逮捕を命令。懸賞金100万円に目が眩んだ先生たちは、生徒たちを体育館に残したまま、一目散に犯人捜しへと飛び出していく。 冒頭から、体育教師・松平片栗虎(CV:若本規夫)による若本節全開な“べしゃり芸”が炸裂。さらには、真選組もとい風紀委員からの無茶苦茶な修学旅行ルールなど、「銀魂」ファンにはたまらないキャラクターの「らしさ」が満載だ。これにはSNSでも「修学旅行のルールが命がけすぎるw」「相変わらずとっつぁんの圧がすごい!」など、銀魂ワールドの平常運転を楽しむ声が多く見られた。さらに今回は、校長室が地下へと潜っていって司令室になったり、学校に謎のバリアが出現して強盗たちを閉じ込めたりと、何かと大掛かり。教室でのやり取りとは一味違ったスケール感も感じさせてくれる。 ■クセ強教師陣が続々参戦!仁義なき(?)懸賞金バトル 強盗犯を探すために校内に散らばった教師陣は、それぞれのやり方で強盗たちを追い詰めていく。日本史教師の服部全蔵(CV:森川智之)は、「銀魂」では最強クラスの忍者という設定を活かして強盗を圧倒するも、どこからともなく出現したジャスタウェイに弱点のお尻を貫かれて自滅。続いて理科教師の平賀源外(CV:島田敏)は、某教育番組でおなじみの空気砲を改造して応戦するも、なぜか自分に向かって発射してしまいあっけなくリタイア。数学教師の坂本辰馬(CV:三木眞一郎)は、強盗たちに謎の商談を持ちかけ、さらには突然「球の表面積」を問いかけるなど、意味不明な言動で強盗と銀八を混乱に陥れる。松平片栗虎に至ってはバズーカを持ち出し、あわや校舎内でぶっ放すのかと思いきや、そのままバズーカで殴るというベタなボケを繰り出すのだった。 このパートは、まさに銀魂高校教師陣の独壇場。これまであまり出番のなかった先生たちが、ここぞとばかりに強烈な個性を遺憾なく発揮しており、銀八も終始ツッコミ役として大忙し。とくに松平片栗虎は拡声器にバズーカ、下ネタとやりたい放題。そして、彼からオチを引き継ぐ形で最後に登場したのが保健体育教師の月詠(CV:甲斐田裕子)。保健体育教師としての設定を守り、強盗たちを前に保健体育の教科書を朗読。第二次成長期に起きる女子の身体の変化を読み上げると、その妖艶な姿もあいまって強盗たちは骨抜きに。しかし結局は、松平と同じくバズーカで殴りかかるのだった。この教師陣のポンコツっぷりには、SNSでも「先生たち、誰一人まともに戦えてなくて草」「月詠の保健体育の授業、俺も受けたい!」「全員ポンコツなの最高かよw」と、爆笑の渦に包まれた。 ■銀八先生、奇跡のピタゴラ作戦!? 教師たちから逃げおおせた強盗たちは、ついに生徒たちが待機する体育館へ乱入し、人質を取る作戦に出る。そこに現れた銀八は、生徒を盾にされながらも全く動じない。おもむろに神楽(CV:釘宮理恵)に「新八がお前の酢昆布こっそり食べてたぞ」と告げると、それをきっかけに生徒たちが次々と連鎖反応を起こし、奇跡のような展開で強盗たちは無力化。最後は風紀委員にボコボコにされ、事件は一件落着となった。 終盤の見どころは、もちろん銀八の奇策だ。生徒が人質に取られても顔色一つ変えず、たった一言でカオスな連鎖反応を引き起こし、結果的に事件を解決に導く。これが全て計算だったとすれば天才的だが、おそらくは「とりあえず騒ぎを起こせば何とかなるだろ」という、まさに銀八らしいアバウトな作戦だったに違いない。それでも結果を出すのが主人公たる所以だろう。また、原作ファンにとってニヤリとさせられるのが、八留虎三兄弟の顛末だ。「銀魂」では土方暗殺のために登場した彼らが、本作では土方たち風紀委員にボコボコにされて終わるという、絶妙なリンクが描かれている。こうした細やかな「銀魂」への目配せも、本作の大きな魅力と言える。そして、物語はそうそううまくは終わらないのもいつものこと。事件の一週間後、校長は懸賞金を使い込み、校長室は金ピカになっていた。この一連の流れには「まさかのピタゴラスイッチで解決www」「校長室が金ピカなの、オチとして完璧すぎる」などの声が寄せられていた。さて次回第6講「お父さんの仕事の都合で転校とか、ちょっとだけ憧れる」は11月10日に放送済み。次回のレビューもお楽しみに! ◆文/岡本大介