与党過半数になると…政府予算案成立めど 委員長独占の「全体安定多数」遠く

衆院会派「改革の会」の3議員が28日、自民党会派に合流したことで、衆院での少数与党は解消された。政府の予算案の成立にめどが立ち、高市早苗首相の今後の政権運営に追い風となる。ただ、参院での与党の過半数割れは変わらず、野党の協力を得なければ法案成立にこぎつけられない状況が続いている。 予算案は憲法の規定で衆院の優越が認められており、衆院で議決され、参院に送付された後30日を経過すれば自然成立する。昨年10月の衆院選で大敗して少数与党に転落して以降、予算案の成立には野党の賛同が不可欠だった。 今回与党が衆院過半数を回復したことで、予算案は衆院で可決されれば、参院での議決がなくても成立する環境が整った。 政府は12月上旬に総合経済対策の財源を裏付ける令和7年度補正予算案を今国会に提出する方針だ。来年1月召集の通常国会では8年度予算案が審議される見込みで、3月2日までに衆院を通過すれば、今年度内成立も可能となる。 また、内閣不信任決議案が提出された場合も、与党のみで否決できる。 一方、衆院に17ある常任委員会の委員長を与党で占め、委員会で過半数を得ることが可能となる「絶対安定多数」(261議席)には依然遠い。 国会論戦の花形でもある予算委員会は立憲民主党が委員長ポストを握っており、自民ベテランは「立民は予算委員長をそう簡単には手放さないだろう」との見方を示す。 また、参院で与党は過半数に6議席足りない。予算案と異なり、法案は衆院で可決し、参院で否決された場合、憲法は衆院で「出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる」と規定する。 法案の確実な成立には参院での採決の際に野党の協力が欠かせず、与党は今後も野党の要求を受け入れるなどの対応が求められそうだ。 このため、与党は参院でも多数派工作を模索しているが、自民中堅は「6人を確保するのは相当難しい」と語る。自民は10月に政治団体「NHKから国民を守る党」の所属議員と参院会派を組んだが、N党党首の逮捕を受けて会派を解消した経緯がある。(今仲信博)

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