アラブ首長国連邦のドバイで、特殊詐欺の「かけ子」の足にライターで火をつけ、やけどを負わせたとして、兵庫県警などは1日、かけ子の指示役で、自称コーディネーターの門垣直人容疑者(48)=詐欺罪で起訴=を傷害の疑いで逮捕し、発表した。 県警は捜査に影響があるとして、認否は明らかにしていない。 特殊詐欺特別捜査隊によると、逮捕容疑は昨年12月中旬、ドバイにある特殊詐欺拠点のホテルの一室で、かけ子の男性(37)の足に火をつけ、全治1カ月のやけどを負わせたというもの。 門垣容疑者が、割り当てられた名簿の人物らに電話をかけたかを確認していた際、男性が足をかいていたため、「かゆいんか」と声をかけ、足に大量のアルコール消毒用ジェルを塗って火をつけたという。 県警に対する男性の説明によると、門垣容疑者が男性のだらしない態度に腹を立て、叱責(しっせき)されたという。 かけ子の男性は、インターネットで副業を検索し、「稼げる仕事がある」との情報を得て、昨年11月にドバイに渡航。門垣容疑者はドバイに居住し、移住支援などを行っていたという。 男性は貴金属買い取り業者の「店長タナカ」を名乗り、「クレジットカードが不正利用されている可能性がある」などと電話をする役割を担っていた。 かけ子の仕事は一度も成功せず、報酬を得られないまま渡航の約1カ月後に拠点から逃げ出したという。 その後、ミャンマーで特殊詐欺に関わるなどしていたが、タイ政府に身柄を拘束され、4月に北海道警に窃盗の疑いで逮捕された。(新屋絵理)