コメ300トン密輸入夫婦が検疫すり抜けた巧妙手口 手前に「緑豆」でカムフラージュ

ベトナムから緑豆と偽ってコメを不正に輸入しようとしたとして大阪府東大阪市の夫婦が逮捕された事件で、大阪府警生活環境課は1日、ベトナムから密輸入したコメを日本産と偽って国内で販売したとして、詐欺や米トレーサビリティー法違反容疑などで東大阪市新町の「合同会社Frechi(フレッチ)」代表社員、チャン・ティ・トゥ・フェン被告(37)=ベトナム国籍=と夫の武重智之被告(47)を追送検した。 府警によると、夫婦は28回にわたり、ベトナムから「緑豆」と偽って密輸入したコメ約294トンを国内に流通させたとみられる。コメや野菜を輸入する際は植物防疫所や税関の検査を受ける必要があるが、「防波堤」が機能していなかった可能性がある。 農林水産省などによると、正規にコメや野菜を輸入するにはまず、輸出国の政府機関で昆虫やダニといった「検疫有害動植物」が付着していないことを確かめる検査を受け、証明書を取得する必要がある。 日本でも植物防疫所で検査を受け、さらに税関による貨物検査も行われた後に日本への輸入が最終的に認められる。 大阪府警は10月、コメ約45トンを不正輸入しようとしたとする関税法違反容疑などで夫婦を逮捕。この不正輸入では、ベトナムで「緑豆45トン」の証明書を取得。コンテナの手前に緑豆の段ボールを配置し、奥にあるコメを隠すという手口を用いていた。 大阪市内でコンテナが陸揚げされ、植物防疫所の検査を通過したが、大阪税関の貨物検査で不正が発覚した。一方、国内で販売された約294トンのコメは同様の手口で持ち込まれ、いずれの検査もすり抜けていたとみられる。 農水省によると、植物防疫所の検査はランダムではなく、全件が対象。専門職員が、輸入量に応じて定められた量をコンテナなどから抽出して検査している。ただ、少なくとも10月に事件化された不正輸出では、神戸植物防疫所大阪支所が偽装を見逃していた。担当者は「(コンテナなどの)奥を検査することもあるが、今回は前方で規定の抽出量が得られたため、コメの存在に気付かなかった」と説明する。 府警が押収したコメの袋の中には、目視でも小さな虫が複数確認できるものもあった。約294トンは一般的に茶碗約450万杯に相当し、大量の不衛生なコメが消費者のもとに届いていたおそれがある。

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