「◯◯という不正行為を行っている運送会社がある」 筆者(坂田良平、物流ジャーナリスト)のもとには、こうした情報が繰り返し届く。このときの内容は、白ナンバートラック(自家用車扱いのトラック)を使った営業行為だった。 「荷主から、商品を買い取ったことにして白ナンバーのトラックで輸送。輸送後、荷主が商品を買い戻したことにすることで、表向きは合法に見せかけているんですよ」 情報を寄せた運送会社の社長は強い怒りをにじませた。 買戻金額と買取金額の差額が、実質的な運賃になっている。しかも、この行為の元請けになっているのは営業ナンバーを持つ運送会社だという。自社では対応できない低単価の案件を、営業ナンバーを持たない(取得できない事情を抱える)事業者に流し、そこで生まれるマージンを取っている構図がうかがえる。 社長は元請けの運送会社だけでなく、荷主や白ナンバーで運行している事業者まで把握していると話した。「そこまでわかっているなら、トラックGメンに通報すればいいのでは」と筆者が問うと、社長は 「いや、そうはいっても元請けは昔からの仲間だし……」 といい淀んだ。なお、トラックGメンは当初、荷主への是正指導を目的に設立されたが、現在は元請け事業者も対象に含めている。