笑顔の娘の記憶 「その笑顔が無残な姿に変わる」 これまで見てきた事件の証拠写真 「もう二度と見ることはない」 【2007年・闇サイト殺人事件 後編】

2007年に、名古屋市で起きた『闇サイト殺人事件』。 これは闇サイトで知り合った男3人が、金目的で強盗殺人を企て、たまたま通りかかった当時31歳の磯谷利恵さんを拉致、殺害した事件です。 11月26日、山梨県甲府市で、利恵さんの母親、磯谷富美子さんが事件当時や裁判中のつらい心境を語りました。 ■≪前編・中編・後編 の後編≫ 捕まった3人の男はその後の裁判で主犯格の神田司被告は死刑判決、事件後に自首した川岸健治被告は無期懲役、堀慶末被告は一審で死刑判決となるも、その後の二審で減刑し無期懲役となりました。 3人の極刑を望んでいた富美子さんにとっては納得のいかない結果となりましたが、堀受刑者の判決から1ヵ月もたたないうちに事態は大きく動きます。 利恵さんの事件の9年前に起きた被害者2人の強盗殺人事件の容疑者として堀受刑者が逮捕され、その翌年には被害者1人の強盗殺人未遂事件でも逮捕、起訴。 そしてこれらの裁判で堀受刑者の死刑が確定したのです。 一方で、無期懲役の判決を受けたもう1人の川岸受刑者に対しては、富美子さんは今も納得いかない気持ちを抱えています。 川岸受刑者は判決が下されたその日の取材に対し、「誰のおかげで事件が解決したかとの思いだったから満足している」「今でも悪いことはバレなきゃいいという気持ちは変わらない」と答えていました。 富美子さん: 「人はどのような人でも最低限の道徳心は持ち合わせていると思っていましたが、それは大きな誤りで、きれいごとでは済まされない、どうしようもない人間が存在することを認識する必要があります」 富美子さん: 「無期懲役は再び社会に戻ることのできる刑です。この男が出所して、皆様の家の隣、あるいは大切なお子さんやお孫さんの隣に住んだとしたら、平気でしょうか?どうか身近なこととしてお考えいただきたいと思います」 富美子さんはこれまで、利恵さんが発見されてから司法解剖に至るまでの多くの証拠写真を見てきました。 その中の数枚をコピーして手元に置いていますが、そのコピーは一度も見ることはできておらず、今後も見ることはないと話します。

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