家族を殺害後、自ら命を絶つ…遺書で最も多く言及された言葉は「母」「父」「お金」=韓国(1)

最近、韓国では家族を殺害した後に自ら命を絶ったり、あるいは自殺を図ろうとしたりする事件が立て続けに起きており、ケア政策と社会的セーフティネットを強化しなければならないという主張が強まっている。 今月11日、京畿道竜仁市(キョンギド・ヨンインシ)で9歳の息子を殺害した40代の男性Aさんが死亡しているところを発見された。Aさんは11日午後、同市のあるマンション20階から投身し、息子のBくんはAさんの車の後部座席から遺体で見つかった。警察は「頸部圧迫による窒息死」とする検案の所見などを根拠に、Aさんが息子Bくんを殺害したとみている。Aさんは、特別支援学校に通うBくんを車で下校させた後、駐車場に車を止め、すぐにマンションへ上がったものと把握されている。Aさんの自宅からは「失敗による自殺です」という内容の自筆の遺書が発見された。 また、8日には蔚山(ウルサン)で、認知症を患っていた母親を殺害した後、自ら命を絶とうとして重傷を負った50代の男性Cさんが警察に拘束された。尊属殺人の疑いで逮捕されたCさんは、警察の取り調べで「多額の借金と生活苦により自殺を決意したが、ひとり残される母が苦労するのではないかと思い、犯行に及んだ」と供述した。Cさんは、認知症を患う母親を長期間一人で介護してきたという。 ◇生活苦とケア問題が主な動機 家族を殺害した後に自殺を選択した人々の主な犯行動機は、「生活苦」および「ケア」問題であると分析されている。韓国生命尊重希望財団と韓国科学技術院(KAIST)脳認知科学科の研究チームが昨年発行した報告書によると、家族や知人を殺害した後に自殺した人々が遺書の中で家族に次いで多く言及した単語は「お金」だった。 研究チームが2013~2020年の警察捜査記録を基に、殺害後自殺死亡者の遺書209件に含まれる単語7015語を分析した結果、最も多く言及された上位3語は「母・お母さん」(3.5%)、「父・お父さん」(2.1%)、そして「お金」(1.7%)だった。これは、一般的な自殺者の遺書では、親に次いで「人」や「息子」といったキーワードが登場することとは対照的な結果だ。 子どもを殺害した加害者と親を殺害した加害者はいずれも、原因としてケア問題を挙げていた。子どもを殺害した親の場合、子どもの障害や健康問題に対する責任感、自分が死んだ後に残された子どもが十分なケアを受けられないのではないかという不安が主な要因だった。被害者が親の場合には、親の身体疾患や認知症による経済的負担、自分が死亡した後にケアを引き受けてくれる人が見つからないことが主な理由として把握された。 研究チームは、親世代と子ども世代の双方を扶養する負担を抱える「サンドイッチ世代」のための包括的な支援体制を構築し、経済危機層など自殺高危険群に対する国家管理システムを強化すべきだと指摘した。特に、親を殺害した後に自殺する事件については、介護ケアの過程で生じる深刻な負担と経済的困難が主要な原因であるとし、全国民を対象とした日常ケアサービスの拡充を提言した。

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