災害時デマへの対応急務 SNSで瞬時に拡散 捜査態勢強化、打ち消す発信も・警察当局

12年ぶりに見直された首都直下地震の被害想定では、災害時のデマ対策への言及が大幅に増えた。 急速に普及したSNSによって瞬時に国内外に拡散される恐れがあり、ファクトチェックや信頼性を担保する仕組みが必要と指摘された。警察庁は過去の教訓から、迅速な削除につながる取り組みをすでに始めており、違法情報に対する捜査態勢も強化している。 昨年1月の能登半島地震ではSNS上で虚偽の救助要請が相次いだ。そこで警察庁は、救助活動に支障をきたしたり、社会的混乱を生じさせたりする恐れがある違法情報をSNS事業者に提供し、優先的に削除してもらう枠組みを整備。一部事業者は専用窓口を設置したという。 また、同庁サイバー特別捜査部は虚偽投稿を含む公開情報に対する捜査態勢を強化。能登地震の際にSNSでうその救助を求めた男のアカウントを特定し、情報提供を受けた石川県警が偽計業務妨害容疑で逮捕した。 一方、首都の治安を守る警視庁は、デマを打ち消す情報の発信に力を入れる。災害時に立ち上がる警備本部が情報収集や分析を行い、約100万人のフォロワーを持つ同庁災害対策課のX(旧ツイッター)アカウントなどを通じて、虚偽情報だと注意喚起することを想定している。同庁幹部は「人命に影響が出るような虚偽情報には常に注意を払っている」と話した。 災害時のデマ情報は、8日深夜に震度6強を観測した青森県東方沖を震源とする地震でも散見。発生直後からXに「人工地震来た」などと投稿されたほか、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」では、生成AI(人工知能)で作成したとみられるニュース動画などが「震源は東京湾北部」「宮城県に過去最大級の津波」とうそを伝えた。

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