新庄・中学生のマット死事件 遺族が元生徒3人に損害賠償の支払い求め再提訴 請求権の消滅を防ぐため

新庄市の旧明倫中学校で32年前、当時1年の男子生徒がマットの中で死亡した事件をめぐり、遺族が元生徒3人を相手取り、支払われていない損害賠償金の支払いを求める訴えを起こしました。まもなく時効となる損害賠償金の請求権が消滅するのを防ぐためとしています。 この事件は、今から32年前の1993年1月、当時の新庄市立明倫中学校の1年生だった児玉有平さんが体育館の用具室のマットの中で死亡した状態で見つかったものです。 警察は遺体発見の5日後、上級生ら7人の少年を監禁致死などの疑いで逮捕・補導しましたが、その後の司法判断は揺れ動きました。 少年たちは捜査の段階でいったんは犯行を自白したものの、まもなく”否認”に転じます。 「補導」の1人を除く6人の少年審判で3人は「無罪」に当たる不処分に、一方、3人は「有罪」相当の保護処分とされます。 保護処分となった3人は仙台高等裁判所に不服を申し立てますが、仙台高裁は3人の訴えを棄却した上、不処分となった3人を含め元生徒7人全員の関与を指摘しました。 そして、真相究明の機会は民事訴訟へと移ります。 遺族側が7人の元生徒らに損害賠償を求めた裁判で、山形地方裁判所は「事件性すらない」と「全員無罪」と認定する判決を言い渡します。一方、遺族側が控訴し争われた仙台高裁では一転して、「全員有罪」の結論が出されました。 元生徒7人に対し総額およそ5800万円の損害賠償の支払いを命じたこの司法判断は2005年に確定しますが、その後も曲折は続きます。 元生徒7人は全員が損害賠償金の支払いに応じず、遺族側は勤務先などが分かっている元生徒に対し、給与の差し押さえを行います。しかし、勤務先が分からない元生徒3人については差し押さえができませんでした。 民事判決は確定から10年の時効で損害賠償金の請求権が消滅するため、遺族は2016年、請求権の消滅を防ごうと元生徒3人を相手取り損害賠償の支払いを求める訴えを起こします。この訴訟で山形地裁は損害賠償の支払いを命じます。しかし、その後も損害賠償金は支払われず、2026年1月に再び請求権の時効を迎えることから、遺族側は11月17日付で元生徒3人を相手取り損害賠償の支払いを求め、再び提訴しました。 原告で、亡くなった児玉さんの父親の昭平さんはYBCの取材に対し「今お話しできることはありません」と話しています。 一方、被告の元生徒の代理人は提訴されたことについて、YBCの取材に「これまで通り無罪を前提とした主張をしていく」とコメントしています。 第1回口頭弁論は2026年1月23日に山形地裁で開かれます。

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