徹底取材【年末特別企画】六本木クラブ襲撃事件 ——いまだ深き闇を追う

◆「見立はまだフィリピンにいる」元メンバーの獄中告白 取材・文:水谷竹秀 今年の春先、私宛に届いたその手紙には、こう綴られていた。 〈柴田も逃亡犯の捜索に関心があったようですね。仮に逃亡犯が逮捕されても、彼には何のメリットもなさそうに思えましたが〉(原文ママ、以下手紙は同じ) 送り主は半グレ集団「関東連合」の元リーダー・石元太一(43)である。’12年9月に起きた「六本木クラブ襲撃事件」は、敵対組織の幹部と間違われた男性が、関東連合の複数のメンバーにクラブ「フラワー」内で撲殺された事件だ。石元は共犯者の一人として逮捕され、懲役15年の有罪判決を受けて服役中だ。「柴田」は元幹部の柴田大輔(’21年死去)を、「逃亡犯」は同事件の主犯格とされる見立真一容疑者(46)を指す。 見立は事件発生から約2ヵ月後の11月上旬、フィリピンの首都マニラへ逃亡して以来、フィリピンから出国した記録はない。現地で捜査を続けるフィリピン入国管理局の幹部は約2年前、見立の潜伏情報を得たが、空振りに終わったという。 「潜伏先は、観光客が多いマニラの歓楽街付近のコンドミニアム。捜査員を送り込んで捜索したが、本人の所在は確認できなかった。それから現在に至るまで有力情報はない」 昨年秋以降、見立のカンボジア潜伏説が一部メディアで報じられた。それを裏付ける証拠として話題になったのが、カンボジアに滞在している関東連合の元メンバーが見立と思しき人物と一緒に収まっている集合写真だ。 果たして見立はどこに潜伏しているのか——。その手がかりとなるのが冒頭の手紙だ。見立の後輩だった石元は、潜伏先をこう予想する。 〈自分が知る限り、彼はまだフィリピンから移動していません〉 話題になった集合写真についても、手紙で言及していた。 〈写真に写っていたOBの人は、私の為に彼に出頭を促し、拒否されたためにそのままケンカ別れになっています。なのでその方達が(見立を)支援していることはまずあり得ない〉 フィリピンの入管幹部もこう明かす。 「見立のカンボジア潜伏説は聞いたことはあるが、確認できていない。まだフィリピン国内にいると信じている。整形をしたという話や死亡説が流れているが、真偽はわからない」 警視庁は事件の捜査情報を11月1日に更新した。見立が帰国している可能性に触れた内容で、タガログ語や英語の翻訳はあるが、カンボジアの公用語のクメール語はない。これはカンボジアにはいないと踏んでいるという意思表示なのか——。各国当局による捜査は暗礁に乗り上げている。(文中、一部敬称略) 『FRIDAY』2025年12月19日・26日合併号より

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