独立委始動、真相究明が焦点 高層住宅火災から1カ月 香港

【香港時事】香港北部・新界地区大埔の高層住宅群での大規模火災発生から26日で1カ月がたった。 警察当局によると、これまでに確認された死者は161人で、1997年の中国への香港返還以降で最悪の大惨事となった。当局の監督不行き届きを疑う声が高まる中、政府が設置した独立委員会が、どこまで火災の原因に迫り、責任の在りかを明確にできるかが焦点となる。 被災者の多くは、政府が手配した住居やホテルで避難生活を余儀なくされている。政府は被災世帯に10万香港ドル(約200万円)の生活補助を支給。手厚い支援の裏には、注目を浴びている住民の不満を和らげたい思惑も透ける。 裁判官をトップとする独立委は19日に初会合を開き、その後、現地を視察。今後、出火原因や消防設備、監督体制などについて調べて9カ月以内に報告書をまとめ、公開する。 火災は11月26日午後、約2000戸に4000人以上が暮らす修繕工事中の高層住宅群で発生。30階を超える8棟のうち7棟に延焼し、40時間以上にわたって燃え続けた。 火元は1棟の低層階を覆っていた防護ネット付近で、窓ガラス保護のため設置されていた可燃性の高い発泡スチロールに引火。窓ガラスが割れて屋内に火が回ったとされる。防火基準を満たさないネットが使用されていた上に、火災報知器が正常に作動しなかったことも判明。多くの住民の避難が遅れ、被害拡大につながったもようだ。 政府は火災後、全ての大規模修繕工事現場からネットを撤去するよう命じた。一方、警察はこれまでに施工会社幹部ら16人を過失致死容疑で逮捕。火災に関する請願書を作成した男性を扇動容疑で逮捕するなど、当局に向けられる批判にも神経をとがらせている。中国政府直轄の治安機関、国家安全維持公署は、火災に便乗して混乱をもたらす行為は「厳しく処罰される」と警告している。

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