小学館の漫画配信サービス「マンガワン」で、男性漫画家の性加害を認知しながらも同漫画家に別名義で連載を書かせていた問題が漫画業界に大きな波紋を広げている。 2月27日、小学館は‘22年から連載している漫画『常人仮面』の配信を停止し、単行本の出荷を停止することを公式サイトおよびアプリ上で発表した。 編集部の声明によると、同作の原作者である一路一氏は、’22年に連載が中止された漫画『墜天作戦』の作者である山本章一氏と同一人物。当時、連載中止の理由は『私的なトラブル』と発表されていたが、過去に一路氏(山本氏)が逮捕・略式起訴され罰金刑を受けていたことが明らかになったのだ。 「’20年に通信制高校の男性講師が、女性生徒に対する児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)で逮捕・略式起訴され、30万円の罰金刑を受けた事件がありました。また’22年7月、繰り返し性的暴力を受けてPTSD(心的外傷後ストレス障害)を負ったとして、同女性生徒が約2,000万円の損害賠償を求めて男性講師と学校法人を民事提訴。この講師が山本氏とされているのです。 今年2月20日に下された判決では、札幌地裁は男性講師に1,100万円の支払いを命令。しかし学校法人への請求は棄却し、『男性の不法行為は授業などと関連しない日時、場所で行われ、法人の事業と密接に関連しない』として使用責任は生じないという判決となりました」(全国紙社会部記者) 山本氏が講師として勤務していたとされているのが、学校法人恭敬学園(北海道仁木町)が運営する北海道芸術高校。札幌・仙台・東京など全国で6校の分校を持つ芸術系の通信制高校で、同氏は「札幌サテライトキャンパス」に勤務していたという。 上記の札幌地裁の判決を受けて、同高校の公式サイトは声明文を発表。《学校の使用者責任の成否につきましては、裁判所から学校の責任は認められないとの認定事実はありましたが、講師として本校に属し、生徒の指導にあたっていたことは事実であり、教育機関として極めて重く受け止めております。本件により心身に大きな負担を受けた生徒の心情を深く慮り、学校として真摯に向き合ってまいります》と、再発防止に向けた取り組みを継続していくとした。 しかし、『マンガワン』をめぐる騒動が過熱化するなかで、XをはじめとしたSNS上では同高校にたいする非難の声が相次いでいる。 《小学館とマンガワン編集部及び担当編集者の対応を批判する声が大きいが、私は北海道芸術高校も責任を問われるべきだと思う。裁判では使用者責任が却下されたが、被害者より前に性的被害を受けた生徒からの相談があったのに対応せず、教師と生徒の個人的な繋がりを放置するなど、教育現場として異常》 《小学館が第三者機関を設けて調査に乗り出すようだが、この学校はどうするのだ?公的機関が学校の調査に乗り出すべきでは?》 《マンガワンの件、どれも胸糞で語りきれないけど、この漫画家を雇用してた北海道芸術高校札幌サテライトキャンパスも最悪だ。生徒から相談を受けてたのに、なんで何年もほっといたんだ?》 本誌が同校に取材すると、学校側から以下のような回答が得られた。 「当校のホームページにコメントを載せさせていただいておりまして、申し訳ありませんが個別のご質問についてはお答えしておりません。元講師に不適切な行為があったこと、裁判になったということは、学校としては極めて重く受け止めております。引き続き再発防止に取り組んでいく所存でございます」 学校側の責任を問う声が多く上がっていると尋ねると――。 「裁判所からも学園の使用者責任は認められないという判断はされておりますので…。(回答に関しては)申し訳ございません」 現在、『マンガワン』をめぐる騒動に関しては、小学館から版権や連載を引き上げる漫画家が相次いでいるほか、3月2日には山本氏と同様の別の事案も発覚。同社は第三者委員会を立ち上げ、調査に全面的に協力するとしている。新事実は明らかにされるのだろうか。