敵対組織の組員ともタッグを組む? 上野4億円強盗事件に見る暴力団犯罪「混成化」の実情

今年1月、東京・上野の路上で、両替目的で香港に持ち運ばれる予定だった現金約4億2300万円が奪われた事件で、警視庁は暴力団組員の男ら7人を事後強盗容疑で逮捕した。同事件の直後には、羽田空港でも約1億9000万円の現金を持った両替商の男性4人組が襲撃され、そのまま渡航した香港で約5100万円を強奪されるという事件も起きており、両事件の関連や現金の出所など、さまざまな憶測が飛び交っていた。 そんななか、1ヶ月半越しの容疑者逮捕で注目を集めたのが、彼らの「所属」だった。昨今、警察当局を悩ませる、複数の暴力団組織にまたがる「混成グループ」だったからだ。 「7人のうち、現役の暴力団組員は3人だったが、山口組、住吉会、極東会と所属する組織はそれぞれ違う。そのため警視庁は彼らの逮捕までに、10か所以上にガサを打つなど、かなり骨を折ったようです。さらにもうひとつ別の組織が関与していたという情報もあります」(捜査関係者) 山口組と住吉会はともに暴力団業界の巨頭として、長らく親戚関係を持たず、過去には一触即発の危機もあったと言われている。また、極東会と山口組も死者を出す抗争事件を過去に起こした因縁がある。 そんな敵対組織同士の組員が手を組んでの犯行など、一昔前なら想像すらできなかっただろう。しかしその背景を深掘りすると、義理人情の崩壊と法規制が生んだ歪(いびつ)な生存戦略が見えてくる。 【対立抗争中の相手組員ともタッグ】 血縁よりも優先される濃い関係を前提にしたのが、これまでのヤクザ組織だった。親と子、兄と弟と疑似的な血縁関係を結びながら、何よりも所属組織への忠誠が第一だった。だが、この建前はとうの昔に崩壊したようだ。関東のある組織に属する50代組員のA氏はこう語る。 「ヤクザ組織はピラミッド型で、情報にせよ金にせよ下から吸い上げるのが基本的な構図でした。私らが若い頃は中学卒業と同時に部屋住みをさせられ、行儀を叩きこまれたものです。 でも今の状況見てください。30代のヤクザなんてほとんどいないし、20代なんてレア中のレア。最大勢力である山口組の弘道会にしたって、新聞じゃ1000人2000人いるように書かれてるけど、400人がいいところ。うちには30代以下なんて100人もいないんです。もはやヤクザという人種は、絶滅危惧種なんです」(A氏) こうした状況が続いた結果、組織の求心力は徐々に失われていった。代わりに台頭したのが、「世代間」と言う結びつきだ。

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