1997年、時効直前に逮捕された、福田和子元受刑者。その逮捕劇は30年近く経った今もなお、多くの人々の記憶に刻まれています。捜査員との15年にわたる攻防を振り返ります。(前編・後編のうち後編) ■■時効成立の21日前に逮捕…「あなた、テレビで見たことある」 1982年8月、当時34歳だった福田元受刑者は、同僚のホステス、安岡厚子さんが暮らす愛媛県松山市のマンションで、安岡さんの首を絞めて殺害。 愛媛県警は、事件後に逃走した福田元受刑者の顔写真を公開し、全国に指名手配しました。 一方の福田元受刑者は、整形を繰り返しながら逃げ延び、捜査は完全に行き詰まります。 時効まで1年…日本の犯罪捜査で初めて、懸賞金がかけられる中、テレビで全国放送された、ある音声が突破口となりました。 「捕まるんが面白いんやろ?楽しみにしてるんでしょうが?私が捕まるの。 そんなドジはしない。危ない危ない」 放送後、この声に聞き覚えのある人から一本の通報が入ります。この情報を機に、14年以上止まっていた時計の針が急転し始めました。 当時、愛媛県警の刑事だった二宮義晴さんは、“福田元受刑者発見”の一報を受けました。2019年の取材で当時を振り返りました。 (二宮さん) 「ちょうど夕方でしたね。『今、福田和子、ほぼ間違いないと思いますが、今指紋を最終確認しています』と」 「『え、本当ですか』と声が思わず上ずるというか…そういう思いだった」 そして迎えた1997年7月29日。潜伏先の福井市内において、福田和子元受刑者はついに逮捕されました。 報道陣は、愛媛県警までの護送を追い続けました。 福井警察署から出発する際、福田元受刑者はジャンパーで頭を隠した状態で護送車に乗り込みました。 経由地の岡山駅でも現場は報道陣らで混乱し、松山東警察署に到着した際には、フラッシュの嵐の中、白いジャンパーをかぶせられた福田元受刑者が捜査員たちに囲まれながら車から降りてきました。 当時のニュース中継でも、その異様な熱気が伝えられています。 そうして時効成立の21日前、14年と344日にわたる逃亡劇が幕を下ろしました。