再犯防止へ 元加害少年を追う『償い』 <聞きたい。>山﨑裕侍さん(北海道放送報道部デスク)

『償い』(文芸春秋・1980円) 史上最悪の少年犯罪とされる東京都足立区で起きた「綾瀬女子高校生コンクリート詰め殺人事件」。被害者は長期間監禁され暴行と虐待の末、昭和64年1月4日、命を奪われた。本書は、逮捕された少年たち6人の「その後」を、20年以上追跡したノンフィクション・ルポルタージュだ。 取材をはじめたのは、平成12年ごろ。ニュース番組のディレクターとして、多発する少年犯罪の背景を追う中で、この最も有名な少年犯罪事件の「加害者に会ってみたい」という強い衝動が芽生えた。取材を続けるうちに、少年犯罪では一般的に、被害者に謝罪に行く加害少年がとても少ないことを知った。「悪いことをしたら謝るのは当然のことだと思っていたけれど、そうじゃない人たちがいた。彼らが何をどう思っているのか、会って確かめたい」 本書では、元加害少年6人の事件後から現在までが時系列でつづられる。家庭を持ち、自らの罪と向き合おうとする者がいる一方で、直撃取材に反省を口にしたが具体的な行動が伴わない者、監禁場所を提供しながら被害者や遺族への意識が希薄な者もいる。さらに出所後に再犯し、亡くなった者、加害者遺族が抱える苦悩…。 自身が携わるニュース番組で加害者の現状を報じることに対し、「犯罪者の肩を持っている」との批判が寄せられることもあるという。 だが、「僕は加害者に一切、同情はしていない」と言い切る。加害者の「その後」を追うのは、死刑や無期懲役でない限り、彼らはいずれ必ず社会に戻ってくるという現実があるからだ。 もし加害者が社会で孤立し、行き場を失って再犯すれば、新たな被害者を生むだけでなく、最初の事件の遺族を再び深く苦しめることになる。だからこそ、「加害者を再び犯罪へ向かわせないためのシステム、同じ社会の一員として労働に従事させ、納税させるような仕組みづくりを真剣に考えるべきではないか」と説く。「きちんと彼らを更生させなければ、結局は僕らが困ることになる。自分たちの問題として考えなければいけない」(三宅令) ◇山﨑裕侍

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