男の子も狙われている!多発する子どもの性被害、犯罪に巻き込まれないために伝えておきたいこと【監修者インタビュー】

※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。 ある日突然、学校に行けなくなった小学3年生の勇。理由がわからず数ヶ月経った頃、おぞましい事件に巻き込まれていたことが判明し――。 漫画『性被害のせいで、息子が不登校になりました』(あらいぴろよ:著、斉藤章佳:監修、飛田桂:取材協力/KADOKAWA)は、息子の性被害を知った家族が、周りの支援を受けながら事件と向き合おうとする。けれども、自分を責める勇の具合はますます悪くなり、明るかった家族は崩壊に向かい……。 監修を務めたのは、精神保健福祉士/社会福祉士であり、西川口榎本クリニックの副院長を務める斉藤章佳氏。最近増加するSNSを通じた性犯罪の手口や、性加害者の認知の歪み、性被害を避けるためにできることなどをうかがった。 ――女の子が性被害にあう作品はよく見かけますが、本作は、男の子の性被害がテーマの貴重な漫画だと思います。 斉藤章佳さん(以下、斉藤):女の子は比較的幼い頃から家庭内で性教育を受ける機会があるでしょうし、自分たちが性的な視線にさらされていることを社会の中で学んでいます。でも、男の子たちの性被害の認識は、非常に未熟です。表面化されにくいけど、男の子がターゲットにされた事件は意外と多いです。ですから、性被害を避けるための包括的な教育はすごく大事です。本書のような漫画で、そういった犯罪があるということを知ることも家庭でできることのひとつだと思います。 ――斉藤先生は小児性愛や性的グルーミングも専門の一つだと思いますが、性加害を起こす人たちは、なぜそういった行為に至るのでしょうか。 斉藤:私が勤める榎本クリニックでは、子どもへの性加害歴がある人を300人以上対応していますが、彼らのタイプには2通りあります。一つは小児性愛症という診断がついた人たちで、もう一つはそうではない人たち。小児性愛症の人たちの中には、13歳未満の児童だけが対象の人と、そうではない混合タイプがいますが、いずれにせよ、それによって自身の社会的・経済的・身体的な損失があるにも関わらず、やめることができず、加害行為に至っているという特性があります。 ――その場合、ターゲットになるのは、女の子と男の子の両方ですか? 斉藤:クリニックの調査だと、女児を対象にしたケースが多く、女児と男児の比率が「7対3」くらい。でも、途中で男の子も性の対象だとカミングアウトする人がいるので、臨床的な感覚としては「6対4」くらいかなと思います。 ――想像以上に男の子の比率が多く、驚きます…。 斉藤:男の子の場合、トイレなど、人前でズボンを脱ぐ機会が多く、そういったシーンで狙われやすいという一面もあると思います。先ほど申し上げたように、男の子の性被害の認識の低さも原因のひとつです。性被害を受けているのに「男なのにこんなことをされて恥ずかしい」「男は強くあるべき」と感じて周囲に打ち明けられなかったり、通過儀礼としてみんな経験してるからと我慢したりして、自分が受けた経験を性被害だと認識できないケースもありますし、親を悲しませるのを恐れて封印する傾向も、男の子のほうが比較的強いです。 取材・文=吉田あき 斉藤章佳: 1979年生まれ。大学卒業後、国内最大規模といわれる依存症施設「榎本クリニック」にソーシャルワーカーとして勤務。現在、西川口榎本クリニックの副院長。25年にわたり、アルコール依存症、ギャンブル、薬物、摂食障害、性犯罪、児童虐待、DV、クレプトマニアなどさまざまなアディクション(依存症)問題に携わる。専門は加害者臨床で、3500人以上の性犯罪者の再犯防止プログラムに携わる。著書に『「小児性愛」という病-それは、愛ではない』(ブックマン社)、『子どもへの性加害-性的グルーミングとは何か』(幻冬舎新書)、『夫が痴漢で逮捕されました-性犯罪と「加害者家族」』(朝日新書)、最新刊に『10代のための「性と加害」を学ぶ本: 暴力の「入口」「根っこ」「しくみ」を知る包括的性教育マンガ』(時事通信出版局)などがある。

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