死刑判決が確定し未執行の死刑囚は、2026年4月8日時点で101人となっています。事件関係の取材や執筆を行うノンフィクションライター・片岡健さんは、面会や手紙で多くの死刑囚を取材し、その素顔に迫ってきました。今回は、片岡さんの著書『実録 死刑囚26人の素顔』より一部を抜粋して、死刑囚の素顔をお届けします。 * * * * * * * ◆「西の毒婦」美由紀 上田美由紀がその存在を社会に知られたのは、2009年の秋頃だった。いわゆる「首都圏連続不審死事件」の犯人とされる木嶋佳苗と共にメディアで「東西の毒婦」と騒ぎ立てられたことによる。この時点ですでに詐欺の容疑で逮捕され獄中の身であった。 当時の報道では、「西の毒婦」美由紀の周辺では6人の男が、「東の毒婦」佳苗の周辺では4人の男がそれぞれ不審な死を遂げており、美由紀、佳苗共に死んだ男たちから多額の金品を受け取っていたと伝えられた。二人は年齢も美由紀が当時35歳、佳苗は当時34歳と一つしか違わず、ともに肥満体型であり、何かと似たところが多かった。 もっとも、二人は生活スタイルが対照的だった。 未婚の佳苗が都心の高層マンションで一人で暮らし、日々の贅沢な食事をブログで公開していたのに対し、2回の結婚歴があった美由紀は5人の子供がいるシングルマザーで、鳥取市でスナックのホステスや取り込み詐欺をして生きていた。美由紀が子供らと暮らしていた長屋風のアパートもゴミ屋敷化しており、佳苗以上に「なぜ、不審死した男たちから多額の金品を受け取れたのか……」という疑問を強く感じさせる女だった。