昭和41年に静岡県で発生した一家4人殺害事件(袴田事件)で死刑判決を受け、再審で無罪が確定した袴田巌さん(90)の姉、袴田ひで子さん(93)は23日、日本記者クラブで記者会見し、法務省と自民党が議論している再審制度について抜本的な改正を訴えた。「法務省は不備を直したのか、直していないのか、分からない。不備があるならば、正々堂々と直して改革してもらいたい」と語った。 再審制度を見直す刑事訴訟法改正案を巡り、法務省案が自民党で審査されており、再審開始決定に対する検察の不服申し立て(抗告)などが維持されていることから、反対意見が相次いでいる。 ■「無実の人間を処刑されて、たまるか」 法務省は15日、抗告後の審理期間を努力義務として1年以内とする修正案を提示。ただ、抗告の全面禁止を求める声に加え、開示証拠の目的外使用禁止について修正が行われなかったことを問題視する意見が上がっている。 ひで子さんは「いい証拠も悪い証拠もすべて出してほしい。目的外使用を制限すれば、検察に都合のいいように運用されてしまう」と懸念し、目的外使用の解禁を改めて求めた。検察による抗告そのものの全面禁止も訴えた。 巌さんは再審請求から無罪確定まで43年の審理を強いられた。再審無罪が確定するまで逮捕から58年。逮捕から釈放まで47年7か月、身柄を拘束された。 ひで子さんは、巌さんの無罪を勝ち取るため、人生の大半をかけて奔走した経緯について「私が33歳の時の事件が、91歳でようやく無罪になった。無実の人間が処刑されてたまるかという思いでやってきた」と振り返り、巌さんに対して「47年7カ月の後遺症は消えないが、今は大変幸せだと思っている」と語った。 その上で「巌だけの問題ではない。再審を求めている人は大勢いる。その人たちのためにも、制度の不備を正してほしい」と強調した。 ■事件当時「さらし者にされた」 事件当時、マスコミから犯人扱いされた経験にも触れ、「さらし者にされ、悪いことばかり書かれた」と回想。「今は多少変わったと思うが、良いことも悪いことも含めて分かるように報じてほしい」と言及した。