重要文化財「旧奈良監獄」の建物を使用した新たなミュージアム「奈良監獄ミュージアム by 星野リゾート」が、4月27日に奈良県・奈良市で開館する。 旧奈良監獄は、司法の近代化を目指す明治政府の一大プロジェクトとして1908年に誕生した。数多くの裁判所や監獄の建築に関わった山下啓次郎が設計を手がけ、1946年には「奈良少年刑務所」と改名。社会復帰と更生教育を重視する矯正施設として機能した。その歴史的価値と建築の意匠が評価され、2017年に国の重要文化財に指定。その後、星野リゾートが法務省より運営権を引き継ぎ、建物の保存・活用を担うこととなった。 同社にとって初の本格的なミュージアム事業であり、6月にはホテル事業として同じ建物を活用した「星のや奈良監獄」も開業予定。館長の八十田香枝は、本プロジェクトが重要文化財を観光収益で維持する仕組みづくりとなることを目指すと述べ、初年度は30万人、将来的には国内外から100万人の集客を目標に「奈良の新アイコン」となることを掲げる。 ミュージアムのコンセプトは、「美しき監獄からの問いかけ」。独居房が連なる「第三寮」を見学できる「保存棟」と、歴史展示やデザイン、アートに触れられる「展示エリア」から構成され、「監獄」というシステムの成り立ちや歴史、そしてアート作品を通して「自由」について考える空間となっている。 ロゴや展示を含めたアートディレクションは佐藤卓/TSDOが担当。ミュゼオグラフィースーパーバイザーとして、ルーヴル美術館ランス別館やロンドンのロイヤル・アカデミーなど世界各国で常設展示デザインを手がけるアドリアン・ガルデールが参画している。 佐藤はミュージアムを訪れることで、「当たり前の日常を考え直してみる。自由とは何かという非常に大きく深いテーマを考えるきっかけになれば」と話す。ガルデールも「このミュージアムが持つ、建物のストーリーや歴史を超えたメッセージは、『自由』だと思う。それは、自由がいかに脆く、貴重なのかということ。精巧に作られた建築物と、私たちの持つ儚い自由との、鮮烈なコントラストに人々が共感してくれることを願っています」とコメントを寄せた。 ここでは、C棟のアート展示を中心に、奈良監獄ミュージアムの見どころをレポートする。