「県警まで来て」…巧妙化するニセ警官詐欺の手口 警察の電話に見せかける「番号偽装」と「機械音声」の案内

日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回、戸田氏が注目したのは、手口がどんどん巧妙になる「特殊詐欺」の実態についてです。 ————————————————————————————————————————————— 2026年の4月20日、滋賀県警は大津市に住む78歳の男性が特殊詐欺被害に遭ったことを発表しました。 男性の家に4月14日、郵便局員をかたる人物から「あなたの名前で荷物が送られているが、受け取り拒否されている。中には携帯電話が入っていました。すぐに警察につなぎます」との電話があったといいます。 その後、警察官を名乗る男らとSNSでやり取りした男性は、「身の潔白を証明するには、金融庁が預金を調査する必要がある。協力しないなら逮捕する」との言葉を信じきり、自宅ポストの前に600万円入りの箱を置き、まんまと騙し取られたのです。 多様化し、ますます巧妙になる特殊詐欺被害。その中でも昨年、被害額が985億4000万円を超えて急増しているのが、「ニセ警察詐欺」です。もはや「オレオレ詐欺」の範疇を超え、より巧妙な罠へと進化。SNSを利用しない高齢層には「逮捕状」を郵送する古典的かつ悪質な手法を用い、若年層にはLINEを介したビデオ通話で偽の警察手帳や逮捕状を見せつける——。 こうした詐欺に多くの人が騙されてしまう要因として、スマホや固定電話に表示される発信元番号の偽装が挙げられます。犯行グループは、全国の警察署が利用する下4桁が「0110」の電話番号や、実在する警察署の番号を偽装して表示させます。着信画面に「〇〇警察署」といった名称や「0110」が表示されれば、誰しもが本物と信じ込んでしまうのは無理もありません。 他にも、 「県警まで本日中に足を運んでください」 と遠方の出頭を執拗に要求するのも、犯行グループが被害者をコントロールするための常套手段。仕事などで物理的に行けないと答えると、心理的な隙を突いて、 「では、電話での金融調査に協力しろ」 と、次の罠へ誘導するのです。ご丁寧にも、通話中に、 「警視庁より転送します。しばらくお待ちください」 といった機械音声を流し、あたかも本物の捜査機関が内線でつないでいるかのような状況を作り出す。視覚・聴覚の両面から偽情報を突きつけられ、“早く解決しなければ”という焦燥感を植え付けられることで、被害者は正常な判断力を奪われ、“捜査への協力”というシナリオへ引きずり込まれているのです。

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