ハンセン病患者を強制隔離した「らい予防法」の下、患者とされた男性が殺人罪などに問われた「菊池事件」。隔離下の「特別法廷」で死刑が確定し、1962年に死刑が執行された。この事件を題材とした映画「新・あつい壁」が6月17日、京都市下京区の世界人権問題研究センターで上映される。 「裁判と人権―『菊池事件』から再審制度を考える―」と題し、再審法の改正案が議論される今、差別的な裁判が行われた事件から、人権の「現在地」を考える企画だ。 事件は熊本県北部の村職員の家にダイナマイトが投げ込まれたことに始まる。後にこの職員が刺殺され、職員からハンセン病患者として県に報告された男性が1952年に殺人容疑などで逮捕され、57年に死刑が確定した。3度目の再審請求が退けられた翌日、執行された。男性は「自分はやっていない」と訴え続けていたと、面会を重ねていた牧師から取材で聞いたことがある。 熊本地裁は今年1月、男性が裁かれた「特別法廷」の違憲性を指摘しつつも、4度目の再審請求も退けた。弁護団は福岡高裁に即時抗告し、現在、審理が始まっている。 映画は「特別法廷」の舞台ともなった国立ハンセン病療養所・菊池恵楓(けいふう)園(熊本県)でも撮影され、2007年に完成。園の近くで育った中山節夫監督が手がけた。上映に先立ち、厚生労働省のハンセン病問題に係る全国的な意識調査検討会座長も務めた坂元茂樹・同センター理事長のミニ解説もある。先着順で60人を招待する。電話(075・585・5897)などで申し込む。(日比野容子)