「ゾンビタバコ」と呼ばれる指定薬物のエトミデートを使用したとして、医薬品医療機器法違反の罪に問われた元広島カープ・羽月隆太郎被告(26)の初公判が15日、広島地裁(井上寛基裁判官)で開かれた。羽月被告は起訴内容を認め、拘禁刑1年、執行猶予3年の判決が言い渡された。 黒髪にマスク、深緑ネクタイ姿の同被告は、午前11時に開廷された初公判に臨んだ。法廷では、球団内の他選手も使用していたことをほのめかす供述も行ったという。これについて、広島の鈴木清明球団本部長(72)は「1度調査はしています。そういう証言が出たので、再調査をします」と語った。阪神戦が行われる甲子園で取材に応じ、明かした。 起訴状によると2025年12月16日ごろ、医療以外の用途で若干量を自宅で使った疑い。同日に任意同行を受け尿検査でエトミデートの陽性反応が出た。羽月被告は、任意同行されたことは球団に報告しないまま、1月27日に逮捕された。 鈴木本部長は、春季キャンプ前日の1月31日に行ったミーティングで、指定薬物や暴力団、オンラインカジノについて「選手生命を失うよ、と話しました」と、危険性などを説明。これまでも球団独自に講習を行ってきたが「何回も何回もしつこいくらいにやっていくつもり」と明かしていた。また、2月17日に起訴されたことを受けて同24日に契約を解除。その際には、文書で「選手会の理解を得た上で、本人には直接通達しました。その際本人からは謝罪の言葉がありました。今後は再発防止に関する指導を徹底し、信頼回復に努めていきます」とコメントしていた。 羽月被告は公判終了後、弁護士らと法廷を出て、険しい表情のまま迎えの車に乗り込んだ。初公判の一般傍聴券は抽選で配布された。46席の傍聴券に対し、500人超が集結した。カープグッズを身につけて傍聴席に入る人の姿もあった。 ◆羽月被告のこれまで ▼2025年12月16日 110番通報を受けた広島県警から任意同行を求められ、尿検査でエトミデートの陽性反応 ▼2026年1月27日 医薬品医療機器法違反の疑いで逮捕 ▼28日 球団が「野球活動停止」の処分を決定。 ▼29日 広島地検に身柄送検 ▼30日 広島県警がマツダスタジアムと大野屋内総合練習場を家宅捜索 ▼2月6日 エトミデート使用を認める趣旨の供述を始めたことが明らかに ▼17日 広島地検が医薬品医療機器法違反の罪で起訴 ▼18日 広島市内の留置施設から保釈 ▼24日 球団が「契約解除」の処分を決定 ◆エトミデートとは もともとは鎮静剤や麻酔導入薬などとして使用される、国内未承認の医薬品成分。本来の使用用途とは別に、電子たばこ向けに違法に使用されるケースが社会問題化し、昨年5月に厚生労働省が「指定薬物」として規制。使用すると手足がけいれんし、ゾンビのように見えることから「ゾンビたばこ」とも呼ばれる。