今年1月、SNSに投稿された一本の動画。そこに映っていたのは、中学生の少年が集団で暴行を受ける姿だった。動画にはノイズが混ざる中、被害者の少年は「まいった」「たんまって!」と訴えるも、周囲は「たんまなし」と暴行を続けた。さらに撮影する人影もあった。 実は、SNSに投稿したのは暴行を受けた少年の母親・ミキさん。経緯については、「情報提供をもらおうかと思って拡散した」と語る。暴行動画をSNSに拡散することとなったが、発端は中学3年生になる息子が巻き込まれた“あるトラブル”だった。「(友達から)後輩がお金を取られたという相談があり、『じゃあ僕が言ってあげるよ』って軽い気持ちで相手の子の連絡先を聞いて、相手に連絡して…こういうことになっちゃった」。ミキさんの息子は、カツアゲされている友達の後輩を助けたいと彼らに接触し、その後、暴行を受けてしまった。 この出来事に、ミキさんは、「衝撃すぎて、言葉が出なかった。自分の子どもがあんな殴られ方をするとは考えられなかった。怒りより、心配が先だった。顔も頭も腫れていたので…」と話す。それから今も、ミキさんの息子は家族がそばにいないと外出もできず、人が近くを通るだけで強い不安に襲われることもあった。精神的な不調を抱え、生活の大半を自宅で過ごしている。「やっぱり(今でも)怖い。友達と行きたかった高校も受けられなくて、そこが悔しい」。当たり前の日常も、思い描いていた未来も失われた。 「息子を傷つけた相手を見つけたい」という母としての一心で、入手した暴行動画をSNSへ投稿したが、警察に任せようという思いはなかったのか。ミキさんは、「(病院側から)20人くらいから暴行されたと聞いて警察が来た。警察の人が、『なんだ、20人から殴られたのかと思っちゃったよ』みたいな言い方をされたので、違和感があって、自分で探そうと思った」と答えた。さらに「対応が遅くなると、加害者の子たちが20数名いると話し合いもできるし、だから、早く拡散して逃げられないようにしたいというか…」と続けた。 動画は急速に拡散され、事件からおよそ1週間後、15歳の少年が傷害容疑で逮捕された。「拡散が逮捕につながった」との声がある一方で、加害者家族や、無関係な人の個人情報まで拡散された。ミキさんも少年の顔を晒すことに抵抗があった。 晒すことで加害者が自殺する可能性などは考えたのだろうか。ミキさんは「そこまで考える余裕はなかった。今思うと、もうちょっと考えればよかったという思いもある。(拡散は)正しかったと思いたい。拡散したことによって、関係ない人まで巻き込まれたことは正しかったとは思わない。今でも半分半分だ」と複雑な心境を語った。 (『ABEMA Prime』より)