中村玉緒さん死去、86歳 今月9日に肺炎で 所属事務所が発表

女優の中村玉緒(なかむら・たまお、本名・奥村玉緒=おくむら・たまお=)さんが9日に肺炎のため亡くなった。86歳だった。所属事務所の長良プロダクションが12日、発表した。 父は二代目中村鴈治郎さん、兄は四代目坂田藤十郎さんという芸能一家に生まれ、勝新太郎さんとのおしどり夫婦としても知られた。女優としては主に大映映画の名脇役として活躍。1990年代から天然キャラでバラエティー番組でブレイク。私生活でもたばこ、パチンコを楽しむなど飾らない性格で知られた。 明るい笑い声とキャラクターでお茶の間に人気だった玉緒さんがこの世を去った。転機になったのは90年代のフジテレビ系「さんまのまんま」への出演だった。初めてのバラエティー番組で、左手小指に巻いたバンソウコウを取り忘れたまま収録。明石家さんまに突っ込まれ、思わず「ウハハー!!」と素が出てしまい、さんまも爆笑。以来バラエティーでの出番が急増し、食品メーカー「マロニー」のCMなどでさらに知名度も広がった。 趣味のパチンコは有名で、自ら弁当を作り、朝から店に入り浸るほど。その中でも「あまった球を隣のお兄ちゃんにあげようと思ったらアッコさん(和田アキ子)だった」など面白エピソードには事欠かない。YouTubeでパチンコの動画に出演するなど入れこんだ。 若い頃は美貌とその演技力で知られた。1953年に映画「景子と雪江」でデビュー。54年に大映に入社し、幼なじみの市川雷蔵さんや山本富士子らと多くの作品に出演した。中でも60年の「大菩薩峠」では雷蔵さん演じる剣客・机竜之介に手込めにされる、お浜を熱演。父の鴈治郎さんが初めて玉緒さんを褒めたほどの芝居で、同年のブルーリボン賞では助演女優賞を受賞した。 そして運命の出会いへ。映画「不知火検校」で勝さんと共演したのを機に62年に結婚。勝さんのべたぼれだった。同年に長女・真粧美さん、64年に長男・雄大(俳優・鴈龍)さんと2人の子どもに恵まれ、仕事をセーブ。円満な家庭を築くと思われていた。 苦難にも見舞われた。勝さんが設立した「勝プロダクション」の経営が悪化し、80年に倒産。さらに2年後には長男と長女が相次いで大麻の密売で逮捕された。勝さんも90年に下着にコカインを入れて現行犯逮捕されるなど、家族が世間をにぎわせた。 勝さんとは98年に死別。19年11月に鴈龍さんが急性心不全のため55歳で、20年11月には兄の坂田藤十郎さんが88歳で亡くなるなど、悲しい別れを何度も経験した。 それでも人柄はずっと変わらなかった。トークイベントでは雷蔵さんや勝さんとの思い出話で観客を盛り上げ、YouTubeでも笑顔を忘れない。波乱万丈の中、明るく駆け抜けた一生だった。 ◆中村 玉緒(なかむら・たまお)本名・奥村玉緒。1939年7月12日、京都府生まれ。映画でも活躍した歌舞伎俳優の2代目・中村鴈治郎さんを父に持つ。中2だった53年、「景子と雪江」で映画デビュー。主な出演作に映画「炎上」「ぼんち」「大菩薩峠」「不知火検校」、ドラマ「いのちの現場から」など。61年ブルーリボン賞助演女優賞を受賞。62年、勝新太郎さんと結婚。11年から「京都名誉観光大使」を務める。

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