日野町事件 検察側、有罪立証断念「死後再審」で無罪判決確実に

滋賀県日野町で1984年、酒店経営の女性が殺害された「日野町事件」で、強盗殺人罪で無期懲役が確定し、服役中に75歳で病死した阪原弘(ひろむ)さんの再審公判を巡り、検察側が有罪立証を断念する方針を固めたことが判明した。 大津地裁で19日に非公開で開かれた裁判所、検察、弁護側の三者協議で検察側が明らかにした。 今後、大津地裁で開かれる再審公判で、阪原さんに対する無罪判決が言い渡されることが確実になった。 酒店経営の女性(当時69歳)は84年12月に行方不明となり、翌月に遺体で見つかった。店の常連客だった阪原さんは、女性の首を絞めて殺害し、金庫を奪ったとして88年3月に逮捕され、後に起訴された。 阪原さんは公判で、捜査段階での「自白」を覆し犯行への関与を否認したが、1審・大津地裁判決(95年6月)、2審・大阪高裁判決(97年5月)で無期懲役とされ、2000年10月に確定した。 阪原さんは再審を請求したものの、病死したため、遺族が12年に第2次請求をした。 阪原さんが殺人に関与したとする直接の証拠はなかったが、確定審では、阪原さんが「引き当て捜査」で遺体や金庫の発見現場を警察官に自ら案内していたとされ、事件時に知人と酒席を設けていたとするアリバイ主張も虚偽認定されて有罪となっていた。 このため弁護側は引き当て捜査の状況を示す写真のネガフィルムや、アリバイに関する阪原さんの知人への聴取結果を新証拠として提出。第2次再審請求審では、自白やアリバイの信用性が主に争われた。 大津地裁決定(18年7月)は、引き当て捜査の「正解」を知る警察官から断片情報を受け取った阪原さんが遺体や金庫の発見現場を案内できた可能性があると判断。阪原さんの知人の証言に基づき、アリバイ主張についても虚偽でない疑いが生じたとして、再審開始を認めた。 大阪高裁決定(23年2月)も、阪原さんの遺体発見現場の案内の経過については「疑問を差し挟む余地が生じている」とし、アリバイ主張に対する地裁の認定も正当だとして地裁決定を支持。最高裁が26年2月、検察側の特別抗告を棄却する決定を出した。 第2次再審を請求した阪原さんの長男弘次(こうじ)さん(65)らは4月、大津地検に対して再審公判で有罪立証をしないよう申し入れをしていた。【江田将宏、斉藤朋恵、飯塚りりん】

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