【AFP=時事】ボリビアの大統領は20日、非常事態宣言を発令し、南米アンデス山脈の同国を麻痺させている反政府派の道路封鎖を強制排除するため、兵士とブルドーザーを投入した。 同国では6週間以上にわたり、労働組合や先住民族団体、コカ農家らが都市部を行進し、がれきや丸太、廃材などで全土の道路を封鎖して保守派政権への抗議を続けている。 主要都市では燃料や食料、医薬品が深刻に不足し、経済損失は数十億ドルに達している。今回の抗議デモは、同国で20年ぶりとなる非社会主義政権の牙城を揺るがす事態に発展していた。 ロドリゴ・パス大統領(58)は20日未明、テレビ演説を行い、危機を終結させるため「法の全力を挙げて対処する」とデモ隊に警告した。大統領は90日間の非常事態宣言を発令。これにより抗議活動の権利が制限され、国内への軍投入が可能となった。 演説から数時間後、首都ラパスに隣接する都市エルアルトでは、兵士や武装警察の車列が進む中、ブルドーザーが道路封鎖の撤去に乗り出すのをAFP通信の記者が確認した。 ラパスでは、大統領府を憲兵隊や海軍兵員が警備し、主要な広場には警察の戦術部隊が配置された。 パス大統領はSNSへの投稿で、「道路封鎖のせいで、国民は仕事や通学、医療へのアクセスを奪われ、家に食料を持ち帰ることすらできなくなっている。国民をこれ以上『人質』に取らせるわけにはいかない」と主張。「この非常事態宣言は平穏を奪うためのものではなく、それを取り戻すためのものだ」と述べた。 デモ隊は、当選から1年未満のパス大統領に対し、自由主義的な経済改革の断念と退陣を求めている。 パス大統領はこれまで交渉による解決を模索しており、先週初めには危機の終結に向けて国内主要労組の一つと合意に達し、大統領が国営企業の民営化見送りや対話の継続を約束したのに対し、ボリビア労働者中央連盟は抗議活動の終了に同意していた。 しかし、一部の先住民団体は抗議活動の継続を誓っており、依然として40か所以上の主要な道路封鎖が残っている。 ■モラレス元大統領が背後にいるとの非難 パス大統領は、今回の道路封鎖デモの背後に「麻薬テロリスト」、特にエボ・モラレス元大統領がいると非難している。 左派の急進派で先住民出身の元コカ農家であるモラレス氏は、2006年から2019年まで大統領を務めた。同氏は現在、未成年者の人身売買に関与した容疑で指名手配されており、潜伏生活を送っている。同氏は犯罪への関与を否定している。 同氏の地盤である中部のチャパレ地域は、現在、武力衝突の潜在的な火種となっている。モラレス氏は数千人の先住民支持者らに守られており、警察による逮捕を阻んでいる。 20日、マルコ・アントニオ・オビエド内相は、モラレス元大統領の拘束に向けた作戦の実施を排除しない姿勢を示した。同内相は、治安部隊が「適切な時期に必要なあらゆる作戦を実行する」と述べ、モラレス氏は法に従う必要があると強調した。 一方、潜伏中のモラレス氏は先日、AFP通信に対し、ボリビア国民は米国に「完全に服従する」保守派政権に対して反旗を翻しているのだと語った。【翻訳編集】 AFPBB News