警察官って公務員だし地元で働けるし安泰だろうけど、仕事内容とか規則とか窮屈そうだよね-。そんな理由から今、警察官のなり手が減っているという。「いやいや、警察も時代に応じて変わってきたんですよ。ぜひ一度体験してみて」と話すのは長崎県警察学校の朝末英一校長。仕事の魅力をPRしようと6月25日、マスコミの若手記者向けに1日体験入校を企画した。4月に入社したばかりの記者(24)も参加した。 ◆一気に親近感湧く 長崎市小江原5丁目の県警察学校。校門をくぐってまず受け取ったのが警察官が着用する本物の制服だった。きれいにアイロンがかけられた水色の上着に袖を通すと、自然と背筋が伸びる。学生たちに拍手で出迎えられ、緊張感も高まる。 警察学校では採用試験合格者が配属前に6~10カ月間、寮生活を送り、職務のイロハを学ぶ。本年度は高卒や大卒、転職組など計86人が入校したが、その多くが記者と同年代か少し年下だ。目に付いたのは今風の若者的な髪形。入社を機に自慢のパーマヘアを切った記者より長髪の男性もちらほらいる。 聞けば、昨年9月から今年4月にかけて校則が大幅に見直され「端正」であればどんな髪形もOKになったという。丸刈りや短髪の「お堅い」姿を想像していた分、一気に親近感が湧いた。他にも、休日以外禁じられていた携帯電話の使用はほぼ自由になり、制約が多かった休日の外泊や男女交際が解禁された。 県警が校則を大幅に緩和した背景には、なり手不足がある。県警警務課によると、採用試験の応募者数は2015年度の約千人から昨年度は382人とこの10年間で6割以上減り、採用倍率は5・6倍から2・2倍に下落。希望すれば2人に1人が警察官になれてしまう計算だ。県警は人材の質確保の面からもてこ入れが必要と判断し、緩和に踏み切った。 ◆自由度増えても真剣に プライベートな自由度が増えた一方、当たり前だが法律や警察実務を学ぶ授業は真剣そのもの。 容疑者を取り押さえる体術を学ぶ「逮捕術」の授業では、武道場で記者も一通りの知識を教わった後、特別に学生と“スパーリング”。瞬く間に腕を取られて体を押さえ付けられ、日々の訓練の成果を肌で感じた。 昼休みは食堂で絶品の牛すじカレーに舌鼓を打ちながら学生らと談笑した。長崎市出身の谷口晴大巡査(23)はバイク事故に遭った際に警察官が親身に寄り添ってくれた経験から、介護福祉士から転職したという。「教官は授業中は厳しく、日常は優しい。警察官としての自覚を持つよう大切に育てていただいている」 諫早市の創成館高出身の林田佳穂巡査(19)は「スマートフォンがあるのとないのとでは寮生活がだいぶ違う。節度を守って使うように個々が心がけているので、自立にもつながるいい校則変更」と話した。 午前10時から午後5時まで丸1日、充実した体験入校を無事に終え、朝末校長から「修了証書」を受け取った。この日学んだ「オンオフ」の切り替えの大切さ。記者も胸に刻んで日々の取材に当たり、仲良くなった学生たちと次は仕事現場で再会し、互いに成長した姿を見せ合うことができればと願っている。