離婚を申し出た翌日に妻が誘拐され、夫にその容疑がかけられる。そんな展開から始まるオリジナル韓国ドラマシリーズ「夫婦の結末」が7月4日に配信開始。本作で妻誘拐の容疑をかけられる夫カン・テジュを演じるナムグン・ミンは、今でこそ韓国ドラマ界の年末恒例賞レース「演技大賞」で3度も大賞を獲得している国民的俳優だが、成功までには長い下積み時代があった。あらためて、“演技の神”と称えられるミンの足跡を振り返ってみたい。 ■演技との思いがけない出会い「好きなことを見つけた!」 日本では亀梨和也主演で2026年にリメークされたドラマ「ストーブリーグ」(2019-2020年)で「2020 SBS演技大賞」大賞、総製作費150億ウォンの超大作サスペンス・アクション「黒い太陽~コードネーム:アムネシア~」(2021年)で「2021 MBC演技大賞」大賞、当時10年ぶりだった時代劇出演作「恋人~あの日聞いた花の咲く音~」(2023年)でも「2023 MBC演技大賞」大賞を受賞…と、ドラマのジャンルを問わず高い評価を受けるミン。 1978年3月12日生まれの48歳で、“この俳優が出ている作品なら間違いない”といわれる“信じて見る(ミッコボヌン)俳優”の代名詞的存在として知られる。 そんな彼が演技の道に飛び込んだきっかけは、大学進学後にたまたまテレビで見かけた「タレント公募」の広告だったという。トーク番組「ユ・クイズ ON THE BLOCK」で、当時を詳細に振り返っている。 機械工学部に進学したものの内容に興味が持てずにいた当時、自分の中に“自分でもなんだかよく分からない何か”を感じた彼は、そのオーディションに参加。2次審査で初めて“演技”というものに触れ、その面白さに目覚めた。 ミンは「演技はできなかったんですよ、できるはずもなかったし。それで落ちたんだけど、家に帰っても気分が良くて、自分が好きなことを見つけた!という気持ちでした。それから全ての放送局のオーディションを全部受けて、全部落ちて。でもすごく幸せでした。魅了されたんです」と語っている。 ■「思ったより無名の時期が長かった」下積みを経て“演技の神”に 1999年に初めてドラマに出演したが、しばらくエキストラや端役の時期が続く。それでも現場では誰よりも情熱的だったそうで「監督に『そこ、そんなに大げさにしないで』と言われて『すみません!』と言いながら(笑)、すごく楽しくて」と、演技をすること自体に夢中に。 「思ったより無名の時期が長かったんです、15年くらい…。それでも、現場でどんなに怒られても家に帰ると気分がいいんですよ。演技ができるから」と明かした。 ■天才経理部長役で“TTダンス”も話題に 2010年頃からは主演の1人にクレジットされることが多くなったものの、なかなかブレークには至らず…。長い間、「ライジングスター」(期待の新星のような意味)と言われ続けた。 本格的に人気が出始めたのは、主人公を苦しめる財閥御曹司を演じ、“歴代最凶の悪役”とまで言われた「リメンバー~記憶の彼方へ~」(2015年)や、TWICEの“TTダンス”も披露するお調子者の天才経理課長役が話題を呼んだ「キム課長とソ理事~Bravo! Your Life~」(2017年)から。演技を始めてすでに15年以上がたっていた。 そこからの快進撃はすさまじい。すでに演技の経験も情熱も人一倍持っていたミンだけに、実力は折り紙つき。「ストーブリーグ」「黒い太陽―」で2年連続「演技大賞」大賞を受賞する頃には視聴者の絶大な信頼を得て、“演技の神”と呼ばれるようになっていた。 ■最新作「夫婦の結末」ではブレーク中の女優イ・ソルと再共演 「恋人」では自身3度目の「演技大賞」大賞を受賞したほか、「第60回百想芸術大賞」作品賞&男性最優秀演技賞受賞、「2023 グリメ賞」5冠…など数々の受賞式で快挙を達成。空前の「恋人」ブームを巻き起こすと、「私たちの映画」(2025年)ではチョン・ヨビンとのタッグで現代ロマンスに挑戦。病で余命宣告されたヒロインを愛する映画監督の葛藤と苦悩、深い愛情を繊細に演じ、人々の記憶に深く残る作品に昇華させた。 プライベートでは2022年10月、モデルのチン・アルムと7年にわたる交際を実らせ結婚。2026年6月には、ミンが妻の第一子妊娠を発表したばかりだ。 そしてディズニープラスで配信開始した最新作「夫婦の結末」では、これまでとはまた雰囲気を一変させ、シリアスなラブサスペンスに挑んでいる。演じるのは、成功した脳外科医カン・テジュ。「私たちの映画」で元恋人を演じたイ・ソルが、テジュの妻で病院の理事長を務める向上心の強い女性コ・セユンを演じる。 脳外科医にして院長のテジュと病院理事長のセユン…誰もがうらやむカップルだが、実際の結婚生活は口論やケンカの連続で、もはや崩壊寸前。テジュが酒に酔って別れを切り出した翌日、セユンが何者かに誘拐されてしまう。その容疑者として逮捕されたのは、テジュだった――。“被害者の夫”から一転して“容疑者”として追われる身になったテジュは、警察の追跡を交わしながらたった1人でセユン救出に挑む。 イ・ソルは、「ゴールドランド」「孤島のエリートドクター」「ブラッドハウンド」シーズン2、そしてこの「夫婦の結末」と、4本の出演ドラマが配信されるなど、ブレーク中の人気女優。ミンとは実年齢で15歳の差があるが、年齢差を感じさせない落ち着いた雰囲気で相性もバッチリだ。テジュがセユンの首元に手をかけるポスターも衝撃的で、一目で興味をそそる仕上がりになっている。 これまでの出演作とは雰囲気の大きく異なるロマンス作品で、“演技の神”がどんな演技を見せてくれるのか期待が高まる。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部