【史上初】「付審判決定」により現職検事が刑事被告人に…「検察なめんなよ!」「大罪人」プレサンス事件で恫喝的取り調べの検事(54) 法廷で何を語る? 10日午後に大阪地裁で初公判

プレサンスコーポレーションの元社長が“冤罪被害”を受けた業務上横領事件をめぐり、元社長の当時の部下に対し、恫喝的・侮辱的な取り調べを行ったとして、特別公務員暴行陵虐の罪に問われている男性検察官(54)の初公判が、きょう10日午後に大阪地裁で開かれます。 付審判請求という制度に基づき、現職検事が刑事裁判にかけられるのは史上初めてで、法廷で何を語るかが注目されます。 ■“起訴罪名”は「特別公務員暴行陵虐」 被告の田渕大輔検事(54)は、大阪地検特捜部に所属していた2019年12月、不動産会社「プレサンスコーポレーション」と大阪の学校法人との土地取引をめぐる巨額横領事件の捜査を担っていましたが、プレサンス社の当時の社長・山岸忍さん(63)の部下の男性に対し、威圧的・侮辱的・脅迫的な取り調べを行ったとして、「特別公務員暴行陵虐」の罪に問われています。 ■机を叩き… 絶叫に近い大声で詰問「ひどいだろ!!ひどすぎるじゃないか!!!」 業務上横領の疑いで逮捕された後、否認を続けていた部下の男性に対し、田渕検事は、押収した証拠と、男性の供述との矛盾点を突いていましたが、その際に、▽机の天板を1度大きく叩いたほか、▽執拗に大声で怒鳴り続けました。 田渕大輔検事の取り調べ(2019年12月8日 大阪拘置所内の取調室) (山岸さんの当時の部下)「ウソっていうか…」 「バンッ!(机の天板を大きく叩く)ウソだろ。……いまのがウソじゃなかったら何が嘘なんですか?」 「何を言っているんだ!ふざけるんじゃないよ!ふざけるな!」 「家族に誓って、良心に誓ってウソをつかないって言ったのに、ウソをついて、まだ言い訳するなんて!ひどいだろ!!ひどすぎるじゃないか!!!」 「なんでですか?答えなさい!!」 (山岸さんの当時の部下)「事実は実際に…何も変えて言っているわけではないので」 「変えてるじゃないか!!思い切り変えてるだろうが!!!変えてるだろう!!!」 (山岸さんの当時の部下)「自分の考えで…」 「変えてるじゃないか!!いい加減にしなさい!!」 ■どういう頭の構造してるんですか!「小学生だって分かってる。幼稚園児だって分かってる」 同じ取り調べでその後、人格を否定するような発言も飛び出します。 田渕大輔検事の取り調べ(同上) 「なんでこんな見えすいた嘘をつくんだ!社内で共有までして!しかもそれをいまだに否定するなんて!どういう頭の構造してるんですか!どういう神経してるんですか!」 「子どもだって知ってます。ウソをついたら叱られる、お仕置きを受ける。当たり前のことです。小学生だって分かってる。幼稚園児だって分かってる。あなたはそんなことも分かってないんでしょ?」 ■「人の人生狂わせる権力持ってるから!!」 さらに田渕検事は、権力を振りかざすような脅迫的な言葉でたたみかけます。 田渕大輔検事の取り調べ(同上) 「お試しで逮捕なんてありえないんだよ。まず捕まえてみて、どうなるか分かんねえから、調べてみて、しゃべったら起訴しようとかじゃないんだよ! 俺たちは、そんないい加減な仕事はできないんだよ!! 人の人生狂わせる権力持ってるから!!」 「検察なめんなよ! 命懸けてるんだよ、俺たちは! あなたたちみたいに金をかけてるんじゃねえんだ。 かけてる天秤の重さが違うんだ、こっちは」 ■翌日の取り調べでも…「あなたはプレサンスの評判をおとしめた大罪人」「また段々悪い顔になってきてるよ」 特捜部は山岸さんも、当該の横領事件に関与していたとみていました。翌日の取り調べで田渕検事は、この見立てに合う供述を、部下の男性から引き出そうとします。 田渕大輔検事の取り調べ(2019年12月9日 大阪拘置所内の取調室) 「はな(最初)からあなたは、社長(山岸忍さん)をだましにかかっていったということになるんだけど、そんなことする、普通?」 「何か理由あります?それはもう、自分の手柄が欲しいがあまりですか?そうだとしたら、あなたはプレサンスの評判をおとしめた、世間の評判をおとしめた、大罪人ですよ」 「会社がいろんな営業損害を受けたとか、株価が下がったとかということを受けたとしたら、あなたはその損害、賠償できます?10億、20億じゃ済まないですよね?それを背負う覚悟でいま話をしてますか?」 「だからあなたが、あなたの顔が、穏やかになりきってないって見えるんですよ。見えるんですよ。見てわかるんですよ」 「また段々悪い顔になってきてるよ」 ■部下の供述の信用性認められず… 山岸さんは無罪が確定 一連の取り調べを経て、山岸さんの当時の部下は、事件への自らの関与を認めたほか、“山岸さんが事件に関与した”とする供述に転じ、それを決め手として、特捜部は山岸さんを逮捕・起訴しました。 しかし、その供述の信用性は山岸さんの刑事裁判で否定され、山岸さんは無罪が確定しました。 無罪判決で大阪地裁は、田渕検事の2019年12月9日の取り調べでの発言が「部下の男性に必要以上に強く責任を感じさせ、その責任を免れようとして真実とは異なる供述に及ぶ強い動機を生じさせかねない」と指摘しています。 部下の男性自身は、有罪が確定しています。 ■大阪高裁が「付審判決定」 山岸さんは無罪確定後、“当時の部下に対し、精神的苦痛を与える取り調べを行った”として、田渕検事を刑事告発。 大阪地検が不起訴処分を下すと、山岸さんは裁判所への「付審判請求」に踏み切ります。 付審判請求とは、職権乱用などの疑いで告訴・告発された公務員への不起訴処分に対する、不服申し立ての制度です。 大阪地裁は請求を退けましたが、抗告審で大阪高裁(村越一浩裁判長)は、「検察官に迎合する虚偽供述を誘発する危険性が大きい威圧的・侮辱的・脅迫的な言動で、必要性・相当性を見いだせない」と指摘。 そのうえで「職権行使の範疇に収まらない不法なものであるのは明らか。不起訴が相当という結論を容認すれば、結果的に本件取り調べを許容するのと大差がない」「このような取り調べは今後繰り返されないようにすべきだという一般予防の要請も高い」として、地裁決定を取り消し、「特別公務員暴行陵虐」の罪で、田渕検事を審判に付す=刑事裁判にかけることを決めました(決定は2024年8月付け)。 付審判請求により刑事被告人となった検察官は、田渕検事が史上初めてです。 ■手厳しい補論「録音録画下で起きたことも考えると、個人の資質や能力にのみ起因するものと捉えるべきではない 大阪高裁の付審判決定の補論では、検察組織への厳しい言葉も並びました。 「社会状況や人々の意識の変化により、取り調べによって供述を得ることが困難化しつつある中で、検察官が証拠獲得へのプレッシャーを感じ、無理な取り調べをする危険がより高くなっており、今般の事態は、まさにその危うさが露呈したものにほかならない」 「今回の事案が録音録画下で起きたことを考えると、本件は個人の資質や能力にのみ起因するものと捉えるべきではない。あらためて今、検察における捜査・取り調べの運用のあり方について、組織として真剣に検討されるべきだ」 ■2年前の証人尋問で田渕検事は… 山岸さん無罪は「非常に残念な判決だと思った」 田渕検事は、山岸さんが国に賠償を求めた民事訴訟での証人尋問で、取り調べでの言動を「不穏当だった」と“謝罪”した一方、山岸さんの無罪判決への“不服”を漏らす場面もありました。 山岸さんの国賠訴訟での、田渕検事の証人尋問(2024年6月) 山岸さんの代理人「あなたは(山岸さんの)無罪判決を読んで、どんな判決だと思いましたか?」 田渕検事「非常に残念な判決だと思いました」「私が取り調べを担当した山岸さんの当時の部下の供述の信用性を否定されたので、残念だと思いました」 代理人 「あなたは山岸さんが本当は有罪だと思っているんですか?」 田渕検事「……それは立場上、お答えを差し控えさせていただきます」 ■きょう10日午後1時半から初公判 付審判請求による裁判では、裁判所が指定した弁護士が検察官の役割を務めます。 きょう10日(金)午後1時半から大阪地裁で開かれる初公判では、通常の刑事裁判と同様、被告である田渕検事の罪状認否のほか、検察官役の指定弁護士が冒頭陳述を行う予定です。 田渕検事側は無罪を主張するとみられていて、法廷で何を語っていくかが注目されます。

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