「レシピの試行錯誤を重ね、配合の組み合わせや地域ごとの好み、利益計算などをまとめたガイドを作成してくれた人も」密造酒製造SLG『The Brewline』【開発者インタビュー】

気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Alcora Games開発、PC向けに6月4日にリリースされた密造酒製造シミュレーション『The Brewline』開発者へのミニインタビューをお届けします。 本作は、逮捕された兄の密造酒ビジネスを引き継ぐシミュレーションゲーム。ビールや蒸留酒など数十種類のお酒を作ることができるだけでなく、フレーバー付けやオリジナルボトルのデザインなど、自分だけの密造酒を作り上げることができます。街の人々との商売や交流を行っていく中で、兄の逮捕に関する真実を暴き出すという物語が用意されているのも特徴。日本語にも対応済みです。 『The Brewline』は、1,300円で配信中。 ――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか? Alcora Gamesトルコを拠点とする4人組のインディー開発チーム「Alcora Games」です。本作『The Brewline』が、私たちの初めての商業作品になります。小規模なチームであるため、プログラミングやゲームデザインから、3Dアート、プロデュースにいたるまで、メンバー全員が開発のあらゆるプロセスに直接携わっています。 私たちは、プレイヤーに自由度を与えつつ、記憶に残るような魅力的な世界を創り出しているゲームが大好きです。特にお気に入りのタイトルは、『レッド・デッド・リデンプション2』、『マフィアII』、『サイバーパンク2077』、そして『バルダーズ・ゲート3』などです。 ――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか? Alcora Gamesお酒の製造というテーマは、驚くほど奥深いゲームプレイのポテンシャルを秘めているにもかかわらず、シミュレーションゲームの中心的なシステムとして深く掘り下げられることが滅多にないと感じていました。 『The Brewline』では、プレイヤーは原材料の栽培から、醸造、発酵、蒸留、樽熟成、フレーバーの調合、ボトルラベルのデザイン、そして街中での製品の販売にいたるまで、全工程を自らの手で行います。私たちはこの細やかな製造システムを、「主人公の兄が逮捕された後、違法なビジネスを引き継ぐ」というオープンワールドの犯罪ストーリーと融合させました。自分だけのブランドを立ち上げ、地域の異なる需要に合わせて製品を調整できるシステムによって、プレイヤーごとに独自性を持ったビジネスを展開することができます。 ――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか? Alcora Games私たちが最初にインスピレーションを受けたのは、生産管理ゲームや犯罪の物語、そして「違法な酒造りをシミュレーターにしてみたい」という私たちが持っていた好奇心です。開発を進める中で、『Schedule I』は、アングラなビジネスシミュレーターがいかに面白くなり得るか、特に進行要素やプレイヤーの自由度、カオスなシチュエーションなどの面で、とても参考になりました。 しかし、私たちは『The Brewline』に独自のアイデンティティを持たせたいと考え、より細やかなお酒の製造システム、季節ごとに表情を変える地域、カスタムブランディング、個性的な顧客たち、そしてよりしっかりと構成されたストーリーを盛り込みました。また、「ブレイキング・バッド」をはじめとする犯罪映画やゲームも、犯罪者、警察、そして一般市民が織りなす対立が描かれる舞台「Volstead City」の雰囲気作りに大きな影響を与えています。 ――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。 Alcora Games最も印象深かったのは、やはりリリース当日です。長い間一つのプロジェクトに情熱を注いできた4人のメンバー全員が、本物のプレイヤーたちが「Volstead City」へと足を踏み入れる瞬間をようやく見届けることができたのです。『The Brewline』がSteamの「人気の新作」に並んでいるのを目にした時、すぐには実感が湧きませんでした。 また、プレイヤーの皆さんが自分だけのカスタムボトルをシェアしたり、詳細な攻略ガイドを書き始めたり、私たちには想定外の方法でゲームのシステムを活用し始めたりするスピードの早さにも驚かされました。 もちろん、開発中にはバイクやNPCの物理挙動に関する忘れられないようなバグもたくさん発生しました。そのほとんどは、修正する苦労よりも、見ている分には遥かに面白いものばかりでしたけどね。 ――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。 Alcora Games全体として、非常に励みになる反響をいただいています。Steamのレビューで「非常に好評」を獲得できたことは、私たちのような小さなチームにとって本当に大きな意味を持つ出来事でした。 プレイヤーの皆さんには、特にやみつきになる製造工程や、自分だけのオリジナルブランドの立ち上げ、街の探索、そして少しずつビジネスを拡大していくプロセスを楽しんでいただけているようです。中でも印象的だったのは、何十時間もかけてレシピの試行錯誤を重ね、配合の組み合わせや地域ごとの好み、利益計算などをまとめた詳細なコミュニティガイドを作成してくださったプレイヤーの方々がいたことです。 一方で、パフォーマンスや操作性、ゲームバランス、ローカライズ、そして一部のわかりにくいゲームシステムに関する批判的なフィードバックも、私たちにとっては非常に貴重なものとなっています。これらは、今後ゲームを改善していくための明確な道標を提示してくれました。 ――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。 Alcora Games当面の最優先事項は、最適化、バグ修正、UIの改善、バランス調整、そして既存のゲームシステムをよりわかりやすくすることです。先日のアップデートでは、プレイヤーが街の店舗を買収し、そこで自社製品をより効率的に販売できるシステムを導入しました。 また、今後の追加機能の候補として、「お酒を飲んだ時のキャラクターのリアクション」「アライグマによる営業妨害」「車両のカスタマイズ」などを挙げ、ゲーム内でコミュニティ投票を開始しました。私たちは、本作を実際に遊んでくれているプレイヤーの皆さんの声に耳を傾けず自分たちだけですべての機能を決めてしまうのではなく、コミュニティと一緒に次のアップデートを形作っていきたいと考えています。 ――本作の日本語対応について教えてください。 Alcora Games『The Brewline』は、すでにインターフェースと字幕の両方で日本語に対応しています。日本語は、本作がサポートしている16言語のうちの1つであり、リリース後に報告されたアジア圏のフォントやローカライズに関する問題についても、すでに修正パッチを配信済みです。 多くの機械やレシピ、メニューが登場するシミュレーションゲームにおいて、わかりやすい翻訳がいかに重要であるかは私たちも理解しています。そのため、今後も問題の報告をいただきましたら、日本語のテキストを継続的に改善していく予定です。 もし翻訳に不自然な点などを見つけられた場合は、私たちのDiscordサーバーやSteamコミュニティのディスカッションを通じて、いつでもAlcora Gamesまでご連絡ください。 ――本作では、なぜ、そして具体的にどのように生成AIの生成物を使用しましたか?また、生成AIについてはどのような感情を抱いていますか? Alcora Games私たちは、いくつかのテクスチャやゲーム内のポスター、そして一部のBGMを制作する際の補助として、ChatGPTやSuno AIといったツールを使用しました。プレイヤーがゲームを遊んでいる最中にリアルタイムで生成されるコンテンツはありませんし、SteamのストアページにおいてもAI生成された素材は一切使用していません。 4人という小規模なチームで比較的大きな規模のゲームを開発するにあたり、これらのツールは、メインの開発リソースをゲームプレイや世界の構築、生産システムの開発に集中させつつ、付随的な環境要素やオーディオの需要を補うのに役立ちました。 私たちは、生成AIをアーティストや開発者、あるいはクリエイティブな方向性の「代わり」になるものではなく、あくまで「補助的なツール」として捉えています。AIは透明性を持って、かつ限定的に使用されるべきであり、最終的な成果物の編集、採用、そしてそれに対する責任を持つのは、どこまでも開発者自身であるべきだと私たちは考えています。 ――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか? Alcora Gamesはい、プレイヤーの皆さんがYouTubeやTwitchなどのプラットフォームで『The Brewline』を配信したり、動画を作って公開したり、さらにそれらを収益化したりすることは大歓迎です。私たちから個別に許可を取っていただく必要はありません。 クリエイターの皆さんが本作をプレイしている姿を見るのは楽しいですし、そうした動画は、バグの発見やわかりにくいゲームシステムの把握、さらにはプレイヤーが私たちの想定していなかったユニークな方法でシステムを活用している様子を知るための、大変貴重な手がかりにもなっています。 ――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。 Alcora GamesGame*Sparkと『The Brewline』に興味を持ってくださった日本のすべての方々に、心から感謝の意を表します。日本のプレイヤーの皆さんが、自分だけのオリジナルのお酒を造り、ブランドをデザインし、Volstead Cityの風変わりな住民たちと出会い、そして独自のやり方でアングラな帝国を築き上げていくのを楽しんでいただけることを願っています。 トルコを拠点とする私たちのような小さなチームにとって、自分たちのゲームが日本のプレイヤーの皆さんにまで届くのを目にすることは、純粋にワクワクしますし、本当に大きな意味を持つ出来事です。これからもぜひ皆さんのフィードバックを私たちにシェアしてください。それでは、『The Brewline』をどうぞお楽しみください! ――ありがとうございました。 ◆「注目インディーミニ問答」について 本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に1,000を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。

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