愛知県豊橋市の住宅街で、斯界(しかい)の2大組織のトップが相見(あいまみ)えた。 7月3日、地元の愛知県警や兵庫県警の捜査員が警戒にあたる中、六代目山口組の2次団体・平井一家の本部を住吉会の最高幹部5人が訪問した。六代目山口組の司忍組長(84)が直々に出迎え、2団体の「外交」は幕を開けた。 「六代目山口組は毎年、親戚・友好団体のトップを集めて『時候の挨拶』を執り行っています。この世界の暑中見舞いという位置付けの行事で、稲川会など全国各地から9団体が挨拶に訪れました。 10団体目となった住吉会は親戚・友好団体ではありませんが、両団体は近年、急速に関係を深めており、『時候の挨拶』にも参加しています。住吉会は現在、会長が逮捕されて社会不在という混迷期にありますが、この日は会長補佐ら最高幹部が揃って訪問した。時間は15分ほどと長くはありませんでしたが、互いの近況などについて話し合ったそうです」(山口組事情に精通するジャーナリスト) 住吉会幹部が帰路に就く際、司組長が自ら見送りに立ったことからも六代目山口組が住吉会を重要視していることがうかがえる。ただ一人、上下とも真っ白なスーツを着た司組長の姿は一層人目を引いていた(上写真)。 積極的な外交を展開する裏にあるのが、昨年4月に六代目山口組が兵庫県警に提出した神戸山口組との「分裂抗争」の終結宣言だと見られる。以降、六代目山口組は竹内照明若頭(66)の下、組織内改革を進めており、6月19日には異例の人事が明らかになった。3月に六代目山口組幹部に昇進したばかりの野内正博四代目弘道会会長(60)が、「中部・東海ブロック長代理」という要職に就いたのだ。 暴力団事情に詳しいノンフィクション作家の溝口敦氏は、その狙いを「代替わりを見据えての人事」と見る。 「竹内若頭も通ってきたポストで、若頭補佐への昇格を想定しての人事だと考えています。弘道会は司組長や高山清司相談役(78)、竹内若頭の出身母体。そのトップを若頭補佐に就けることで、竹内若頭体制を磐石にしたいのでしょう。その先には竹内若頭を親分とした『七代目山口組』の誕生があります。 親分を総裁ポストに上げ、組織運営を後進に譲りながら影響力を維持する『総裁制』が傘下組織にどんどん導入されています。司組長が健康なうちに、この制度の導入を推し進めたいと思っているはず。早ければ年内、遅くとも来年の上半期には七代目山口組が生まれるのではないかと見ています」 一方、沈黙を続ける神戸山口組には不気味な予兆があるという。 「7月下旬、井上邦雄組長(77)の最側近と言われた大物幹部が、刑期満了で府中刑務所から出所します。この人物は若頭昇進が噂されており、当局も警戒を強めています」(前出・ジャーナリスト) 組織を磐石にするために六代目山口組が積極外交を展開する裏で、火種は今も燻(くすぶ)り続けている。 『FRIDAY』2026年7月31日号より